太陽の当たる場所 8

never 5 ページ7

私の体は
正直だ。

気になる事があると
食べれないか寝れない。

今回は食べれない方だ。

あまり食べてないから
酔いの周りも早い。



「ねぇ、A酔うの早くない？」

ニカに言われる。



「ん？」

「顔もう赤いじゃん」



ニカが私の頬を触る。

ニカの冷たい指が気持ちいい。



「…お風呂長湯したからじゃないかな」

「あー、なるほどね」



ニカが単純なのが助かる。
あまり不思議がらずに

「ならお酒薄めようか」

炭酸水を注いでくれる。



注がれてシュワシュワ弾けてる炭酸を眺めてると

「今日はもう寝る？」

ニカが聞いてくるけど

「んーまだ眠くはないかな」

せっかく久しぶりにニカと一緒にいるのに
もう寝るのがもったいない。



「明日仕事だよね」

「うん」

「明日も来るから今日は寝よっ」



ニカがお兄さんぶって私の頭を撫でながら言う。
それが何だか嫌だったから

「寝ない」

ムッとして言うと

「寝る」

ニカはテーブルを片付けようとする。



嫌だ。
まだニカと過したい。

ニカと一緒にいたい。



「寝ないってば」

ニカの腕を掴むと

「寝るのっ」

ニカが私の手を抑えようとする。



何だか泣きそうになった。
ニカに一緒にいたくないって言われてるみたいで。

「せめてこれ飲む。もったいない」

ムキになってグラスを取ろうとすると

「……まぁそれくらいなら」

ニカは手を緩めてくれる。



いいんだ、まだ一緒にいられる。



ホッとしてソファにもたれると

「どーしたの？反抗期じゃん」

ニカが笑ってる。



反抗期じゃないよ。
たた久しぶりにニカと一緒に過したいだけだよ。

「起きてるならこれ見ていい？」

HDDから30分くらいで終わるバラエティを選ぶニカ。



「うん」

「ありがとー」



ニカはそのバラエティを真剣な顔で見る。



いいなぁ、ニカは。
仕事が充実してて、やりたい事も決まってて
全部順風満帆じゃん。



何だか悔しくて。

悲しくて。
寂しくて。

お酒を飲み干して席を立った。



「ん？」

不思議そうに私を見るニカに

「これ片付けてくる」

ニカを見ないで
焼酎や氷やレモンを持ってキッチンに向かう。



「後で俺やるよー？」

「ううん、ニカは見てて」



何だかニカにどんどん突き放されてる気がして
泣きそうになった。



こんなんじゃ
ニカとの将来どころか私自体にニカが見捨てられそう。



ダメだ、どんどんネガティブになってる。

せっかくニカといるのに
どんどん卑屈になっちゃう。

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