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never 4 side 2 ページ6

Aと入れ替わりで
湯船に浸かる。

レモンの香りが
すごく落ち着く。

「めっちゃいい香りー」

レモンの皮が入ったネットの香りを嗅ぐと
すでに上がって脱衣場にいるAが

「でしょ?いいよねー」

髪を拭きながら言ってるのが
くもりガラスの向こうにいても
シルエットで分かって。



丸見えよりも何だかドキドキする。



続けてドライヤーの音とかして
1人じゃないのを実感する。

…いいなぁ。
誰かが一緒に過ごしてる音って。



ドライヤーの音が止んで

「ニカ、ご飯食べた?」

Aの声がする。



あ、Aの声落ち着くな。

何だかキュンとしちゃう。



「うん、食べてきた」

「そっか。じゃあ私も食べてくるー」



Aが洗濯機を開けたりして
ここから出てっちゃうのを感じたから何だか寂しくなって

「えっ」

慌てて引き止めようとしたけど言葉が続かない。



「どうかした?」

Aが聞いてくるけど。
『まだ行かないで』なんてダサすぎて言えなくて

「んーん、何でもない」

俺もAんとこ行けばいいや、と思って湯船から上がる。



「お湯抜いちゃってね」

「ん、洗っとくよ」

「わ!助かる。ありがと」



Aの嬉しそうな声が俺まで嬉しくて。

「洗濯機も回しておくから」

「うんっ!」

さらにAが喜びそうな事を言うと
Aの声がさらに弾む。



やば、Aの嬉しそうな声でここまでアガるとか
俺もAの事めちゃ好きじゃん。



お風呂から上がって掃除もして
洗濯機を回しながらAの待つリビングに行くと
Aが食器を洗ってる。

「え、もうご飯食べたの?」

「うん。早くニカと晩酌したかったから」

ニコッて俺に笑うA。



もー。

そんな可愛いこと言っちゃう?



でもそれにしても早いから

「ちゃんと食べたの?」

「食べたよ」

「ホントに?ちゃんと食べないと…」

「食べたってば」

口うるさい俺にAがめんどくさそう。



…だって心配だもん。



「あんまり口うるさいとニカには作らないよ?」

冷蔵庫からレモンを取り出すAは
焼酎のグラスに氷を入れて炭酸水を注ぐ。

そしてそこに切り立てのレモンの輪切りを浮かべると
シュワって炭酸がレモンに弾けていい香りがする。

「えっ!めちゃ美味しそー!」

「これ最高だよ?」

「ねー!俺にもっ!」

「ご飯食べたの信じ…」

「信じる!」

食い気味に答える俺にAが笑って。



結局ちゃんと食べたのか
確認できなかった。

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shizu(プロフ) - junkoさん» コメントありがとうございます!一文字一文字読まれると誤字脱字が酷いのがバレて心配ですが(笑)見つけ次第治してますが見つけたらまたやったな、って思っていただけたら幸いです。また読みに来てください! (2021年4月21日 7時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます!ニカにはこんな子がそばにいてほいしな、と思って書きました。ありがとうございます! (2021年4月21日 7時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
junko(プロフ) - このお話大好きです。更新されるたびに大切に一文字一文字ゆっくり読んでます。これからも楽しみにしてます^_^ (2021年4月20日 1時) (レス) id: 74230b5629 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 更新ありがとうございます!素敵すぎて電車で泣いちゃいそうでした。 (2021年4月19日 9時) (レス) id: 0a653a5e8d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年3月27日 14時

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