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never 20 ページ37

「ねぇ」

お風呂を出てからベッドに入ると
ニカから声を掛けてきて。



「ん?」

「随分前にさ、うちに来てくれた時。変な顔してゴメン」



急に改めてニカが謝ってくる。



「どうしたの?改まって」

「んー?…なんかね、こーやって毎日Aと一緒にいたらものすごく楽だなーって思ったの」



ニカは柔らかく笑うと
シーツが擦れる音を立てて体の向きを私に向ける。

「今日、来てくれてありがと」

優しい笑顔で改めて言われて。



前に突然来た時に引き攣ってたニカの顔が離れなくて
今まで不安だった気持ちが急にあふれてくる。



目に涙が溜まってきた私に
ニカが困った顔で笑う。

「もーそんな顔しないで?…って、俺のせいだよね」

ポンポンって、優しく頭を撫でて
ついに溢れた涙をニカが優しく指で拭ってくれる。



ニカの指が好きだから触れてくれたのが嬉しかったけど
その余韻ゼロでティッシュを使う潔癖なニカがどこまでもニカで笑っちゃうと
目を細めたからまた涙が出てくる。



その涙を今度はティッシュで拭いてくれながら

「この前ミツがね、今の俺がいいって言ってくれて」

ニカが話し出す。



「俺が無理してたらミツはそんな事絶対言わないの。だからホントに俺はいまいい状態なんだな、って思うわけ」



それってさ、ニカ。

私がいるから北山さんにいいって言われたって受け取っていい?



「Aのお陰だよ」



優しい笑顔で言われたら
嬉しくてまた涙が溢れてきちゃって。



多分涙で顔がぐちゃぐちゃなんだろう。
ニカが笑い出す。

「もー、顔がヒドイ」

ニカは笑いながら涙をティッシュで拭いつつ言う。



優しい掠れた声。

私だけが知ってるニカのオフな声。



「ヒドイとか失礼」

ようやく言い返すと

「ヒドイもんはヒドイの」

ニカは笑って頭を撫でてくれる。



「私もニカがいるから頑張ってるよ?」

「そ、だから俺たちが一緒に居るのって最強じゃん?」



ニカにそう言われたら頷くしかない。



「うん」

「だからさ、出来るだけ一緒に居よーよ」



ニカが笑う。



いいんだ。
一緒にいて。

嬉しくて頷きたいのに胸がいっぱいで言葉が出ない。



「返事は?」



そんな私に
ニカがおでこを私のおでこにコツン、と当てる。

「…うん」

嬉しくて胸が熱くて。
また泣きそうで。



今なら言えるかな、って思った。

「ニカと会えなくなる日が来たとしても、私はもうニカじゃなきゃ嫌だ」



…ニカにうまく話せるといいな。

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shizu(プロフ) - junkoさん» コメントありがとうございます!一文字一文字読まれると誤字脱字が酷いのがバレて心配ですが(笑)見つけ次第治してますが見つけたらまたやったな、って思っていただけたら幸いです。また読みに来てください! (2021年4月21日 7時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます!ニカにはこんな子がそばにいてほいしな、と思って書きました。ありがとうございます! (2021年4月21日 7時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
junko(プロフ) - このお話大好きです。更新されるたびに大切に一文字一文字ゆっくり読んでます。これからも楽しみにしてます^_^ (2021年4月20日 1時) (レス) id: 74230b5629 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 更新ありがとうございます!素敵すぎて電車で泣いちゃいそうでした。 (2021年4月19日 9時) (レス) id: 0a653a5e8d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年3月27日 14時

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