never 16 side 2 ページ30
千賀は小林ちゃんが
送ったらしい。
俺と一緒に送らない方がいいって
小林ちゃんが気を遣ってくれたんだろう。
控え室は静まり返っている。
俺も無言だし
戻ってきた広崎ちゃんはオロオロしてる。
言わなきゃ良かった、って思ってるかも。
そんな広崎ちゃんに声も掛けられない。
俺の素直になれないひねくれてるとこが出てる。
最低だって分かってる。
でも、今は……
ドアが開く音がして
「お、ニカ。帰るぞ」
沈黙を破ってミツが声を掛けてくる。
「小林ちゃん先に帰ったから一緒に帰ろーぜ」
「………」
何も言わない俺に肩をポン、と叩いてミツは
「ほら、支度しろよー」
自分の荷物をまとめだす。
カバンを手にしてると
「おつかれっ」「お先ー」
ミヤとタマが帰っていく。
ただ頭だけ下げる俺に
広崎ちゃんが「お疲れ様です」ってタマたちに続く。
チラッとミツが顔を上げる気配。
ミツのマネージャーが部屋を出る音。
ワタとガヤは2人で取材で居ないから
俺とミツだけ残った。
訪れる静寂。
「…ま、そーゆーわけだから」
ミツが言う。
「………」
ただ頷く俺にミツが近づいてくる。
「ニカが今日みんなで揃って通しをやりたかった気持ちも分かるぞ?修正するなら早い方がいいしな」
「…でも千賀が千賀のパフォーマンスをちゃんとできないとライブ全体の質が落ちちゃう」
「だな」
分かってる。
だから千賀は代役立てて休んでるんだし。
ただ
「代役と千賀は違うから…」
「だよな。そう思う。それに千賀はLIVEを仕切ってるニカに言っとけとも思う」
ミツは俺の怒ってるトコを理解してくれてる。
そう。
言ってほしかった。
先に俺に何かしらの形で言ってほしかった。
それが悲しかった。
…でもそれも出来ないくらい
今の千賀は切羽詰まってるんだろう。
「後は俺の言いたい事、分かってるよな?」
ミツは睨んでくる。
そう、俺がほぼ無言で空気を悪くした事。
あの場で千賀にあんな言い方をした事。
「ごめん」
「ん?それは俺じゃなくて千賀に…」
「ううん、いま嫌な役させて」
こんな事、ホントはミツも言いたくないはず。
「……ん」
謝る俺にニッて笑うミツは「行くぞー」って先に部屋を出る。
1人になったらふと
Aに会いたいなって思って。
明日行っていい?ってLINEしかけたら
「ニカ?」
ミツが出てこない俺を見に来たから
「ごめん」
慌ててスマホをしまって部屋を出た。
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shizu(プロフ) - junkoさん» コメントありがとうございます!一文字一文字読まれると誤字脱字が酷いのがバレて心配ですが(笑)見つけ次第治してますが見つけたらまたやったな、って思っていただけたら幸いです。また読みに来てください! (2021年4月21日 7時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます!ニカにはこんな子がそばにいてほいしな、と思って書きました。ありがとうございます! (2021年4月21日 7時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
junko(プロフ) - このお話大好きです。更新されるたびに大切に一文字一文字ゆっくり読んでます。これからも楽しみにしてます^_^ (2021年4月20日 1時) (レス) id: 74230b5629 (このIDを非表示/違反報告)
れな(プロフ) - 更新ありがとうございます!素敵すぎて電車で泣いちゃいそうでした。 (2021年4月19日 9時) (レス) id: 0a653a5e8d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shizu | 作成日時:2021年3月27日 14時