太陽の当たる場所 8

never 13 ページ23

「…で？」

ニカ特製のそば飯を食べてると
ふとニカが言う。



「ん？」

「何があったの？」



改めてニカに言われて
やっぱり困ったな、って思った。

どう話しても田原先輩に告白まがいの事言われた話を
結局避けて通れないから。

モテ自慢みたいに取られても嫌だし
結局ニカが嫌な気持ちになるだろうな、って予想がついたから。



なんて言おう、と思ったら

「こら」

結構な力でニカからデコピンされる。



「いたっ」

「俺で頑張れたんでしょ？それなら俺にも知る権利あるよね？」



ニカはなんだか偉そうで。



そうだとしても頑張ったのは私だし
何でニカはこんなに偉そうなの？



ああもう。
言わ…

「『言わなきゃ良かった』って思ったでしょ」

思ってた事をニカに言われる。



ムッとしちゃってニカが爆笑する。



「あはははは！あーもう、A最高なんだけど！」

「………」



私は何も面白くない。

ただただそば飯を食べ続けることにした。



そしてそんな私を見てニカが嬉しそうに笑って

「美味しい？」

目をキラキラさせて聞いてくるから

「……まぁ」

美味しいけどさっきのデコピンが痛かったから
素直には褒めてあげない。

でもニカは笑ってる。



…顔に出ちゃってたかな。



そして

「実はさっきね、ミツからAと大将が喧嘩してたっていうのは聞いたんだ」

ニカが話し出す。



あ、そうか。

北山さんあの時いたもんね。



北山さんはきっとびっくりしたよね。
自分の事で精一杯で忘れてた。

みっともないところ見せてごめんなさい、って言わなきゃ。



「理由はAから聞きな、ってミツが言うから…」

「そっか」



もしかしたら
今日ニカはそれで来てくれたのかな。



そう思ってたら

「あ、今日来たのは普通にAに会いたかったからだよ？」

サラッとニカが言うから
嬉しくて。



『会いたい』が素直に出てくれたのが嬉しい。

ニカはたまに嬉しい事を普通に言う。



「ふふふっ」

嬉しいから笑っちゃうと

「……なに？変なAっ」

ニカが照れだしてそっぽを向く。



だから結局話さなくて
また私の会話はうやむやになった。

それで良かった。

まだニカにうまく言えそうも無かったから。



田原先輩との話をしたら
私の将来がニカと一緒にいたい事しか決まってなくて
将来が決まってないから
ニカとの未来考えたって思われるのも嫌で。



「私も、ニカに会いたかった」



それを素直に伝えるのが精一杯だった。

never 13 side 2→←never 12 side 2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す