太陽の当たる場所 8

never 10 side 2 ページ18

Aんちに着くと
部屋は真っ暗だった。

まだ仕事なのかな。

少しフリの確認したかったから
使い捨てスリッパを履いて
バルコニーに向かう。

…まだレモン水あるかな。

冷蔵庫を開けてレモン水を見つけて
さすがに急に来たからタンブラーに移されてないから
タンブラーを取り出そうとして冷蔵庫を閉める直前に
ふと視界に入ったタッパーを2度見する。



焼きそばだ。

しかもこの前と具が一緒だ。



ずっと冷蔵庫に入ってたとは言え
これ、大丈夫？

しかも冷蔵庫の中が
この前来た時とあまり変わってない。



てゆーかA、ご飯食べてなくない？



とりあえず冷蔵庫からお水を取り出して
タンブラーに移すとバルコニーに出る。

少し踊ってたら
リビングに灯りがついた。



Aが帰ってきた！！

「Aっ！？」

バルコニーから顔を出すと

「あ、ニカ」

キッチンから顔を出すAが笑顔を向けるけど
完全に疲れた顔をしてる。



しかも

「え、調子悪い？」

むしろやつれてるように見えるけど

「…最近忙しかったから」

全然笑ってない笑顔でAが笑う。



……嘘だな、って分かる。

いや、正しくは忙しかったかもしれないけど
それだけじゃないはず。



「シャワー浴びたらご飯食べよ」

スリッパを履こうとしたら

「もう今日は寝ようと思うんだけど…」

Aが言うけど

「ご飯食べて来たの？」

聞くとAは首を振る。



ならそんな事させないし
いつも俺と一緒ならAはちゃんと食べるもんね。

「だめ、一緒に食べよ」

スリッパを履いてリビングに上がると

「……眠いもん」

ムスッとしてAは俺からタンブラーを受け取る。



文句言いたそうにしながら
結局優しいからタンブラーを洗ってくれちゃう。



「寝てていーよ、ご飯出来たら起こすから」

Aの頭の上にポン、って手を乗せたら
一瞬嬉しそうな顔をして

「…手、汚いっ。私シャワー浴びた後だもん」

ニヤニヤを我慢しながら答えてて。



可愛いんだか可愛くないんだか。



「ご飯、作ってるよ」

冷蔵庫に向かうから

「だめ、作ってくれてそのままA食べよーとしちゃうもん」

ダメ出しするとAは泣きそうになってる。



何となく分かった。

Aがめちゃくちゃストレス溜めてて
我慢の限界だったんだって。



そしてさらに分かる。

美味しいものなら
食べだしたらAがちゃんと食べる事も。



だから

「すぐだからっ！」

慌ててシャワーに向かった。

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