太陽の当たる場所 8

never 3 side 2 ページ4

Aに大将のお店で会った週の週末。

久しぶりにAの家に行く。

着くとまだAは帰ってない。
タオルと靴を持って使い捨てのスリッパを履くと
そのままバルコニーに向かう。



バルコニーに行くガラス戸の前に
テープで紙が貼ってある。

『冷蔵庫にお水とハチミツレモン冷やしてます』

Aの字だった。



……ハチミツレモン？

冷蔵庫に向かうと
タッパーにハチミツレモンが入っていた。

手で直接食べない俺とAが食べる用っぽく
ちゃんと爪楊枝も刺さってる。

甘いのとかそんなに好きじゃないんだけどなー。

そう思いながら1つ食べてみる。



「……おいしっ」



思わず呟くくらい美味しかった。

え、何コレ。
激ウマなんですけど！

もう1つ食べてふと冷蔵庫のポケットを見ると
500mlくらいのボトルにレモンの輪切りが入ったお水が2本あるし。

『ニカ』って名前も書かれてる。



え、やば。

めちゃくちゃ嬉しいんだけど。



ボトルを持ってバルコニーに行く。

前は少し埃っぽかったのに綺麗になってるし。
朝、水まいてくれたんだろうな。

最高っ。



今日はスタジオ撮影だけで全然動いてないから
途中休憩しながら多分2時間くらい踊った。

ホント、このバルコニーめちゃくちゃ助かる。
フリが難しいやつが完璧に踊れるようになった。

窓が鏡代わりになるから映しながら踊ると
どう魅せたらカッコイイかも分かるし。



汗かけて気分いいし
都心から少し離れてるから夜の澄んだ空気も気持ちいい。

リビングに戻ると部屋は真っ暗なまま。

でも廊下に明かりがついてる。



あれ？消し忘れた？

汗を拭きながらシャワーに向かうと
バスルームは電気がついていた。
脱衣場で洗濯機の音もしてる。



あ、A帰ってきてるんだ。
シャワーの音がしないからお湯に浸かってるのかな。

コンコン、って風呂場のガラス戸をノックするけど返事がない。



え？大丈夫？？



「A？入るよ？」

声を掛けてドアを開けるとお風呂に浸かってるAがびっくりしてる。



「え！何で！？」

「ノックしたのに返事してくれないからこっちもびっくりしたんだけど」



良かった、A何ともないんだ。
ホッとしてシャツを脱ぎ始めると

「私出るから待っててよ」

Aが上がろうとする。

「俺がシャワーする間待っててよー」

下も脱ぎはじめたら

「え！やだよっ！！」

Aはものすごく慌ててるけど。



温泉も一緒に入ってるんだし別にいいじゃん。

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