太陽の当たる場所 8

never 11 side 2 ページ20

マッハでシャワーを浴びて
ドライヤーかけながら
焼きそばをどうにか出来ないかな
ってレシピサイト見てたら
そば飯のレシピを見つけた。

これなら作れそう。

リビングに戻ると「おかえり」も言わないAはソファで丸まってる。



寝ちゃダメって言われて拗ねてるな。



「すぐ作るから待っててよー」



聞いてないと思うけどAに声を掛ける。

案の定返事をしないAは
益々丸まってテレビをぼんやり見てる。



冷蔵庫の中を見て色々取り出しながら
冷凍庫からご飯のストックを取り出す。

最後に飲んだ時のロックアイスも減ってない。

結局パンが少し減ってるだけだ。



あれから今日までどんな生活してたわけ？



ご飯を作り終えて

「A」

声を掛けるけど返事がない。



ソファを見ると頭が見えないから
寝転んでるのかな。

「Aー、ご飯出来たってば」

近づくとブランケットも掛けないでAは寝てる。



風邪引くじゃん。

思わずため息をついちゃった。



怒って起こそうとしたら
よく見るとAは眉間にシワを寄せてる。

ご飯食べろって言ったのがそんなに嫌だった？

「なーにをそんなに怒ってるんだか」

でも食べてないのが心配なんだもん。



てゆーか、もっと甘えてくれればいいのに。
俺が忙しそーでも関係ないじゃん。
寝るのは一緒なんだから
寝る時だけでも一緒に過ごしに来ればいいのに。

大将とケンカしたなら少なくともその日はモヤモヤしただろーから
ウチに来て一緒に寝れば少しは気が晴れただろーに。



でもきっとAは
俺が忙しいだろうから、って来なかったんだろうね。



「…ごめんね、いつも我慢ばっかさせて」



Aの頭を撫でる。

サラサラの髪が気持ちいい。

Aの体温にホッとしてると
Aの眉間のシワがふっと減る。



あ、良かった。

と思うと同時にこれは寝たフリだなって気づく。



だとしたらさっきの独り言聞かれたのめちゃくちゃ恥ずかしいけど
寝たフリまでして拗ねてるのが
何だか可愛いな、って思って笑っちゃう。



ゆっくりAが目を開けたから

「おはよ、ご飯出来たよ」

声を掛ける。



Aは泣きそうな顔をして俺に抱きついてくるから

「わっ」

バランスを崩しそうになった。



危ないでしょ、って怒ろうとしたら
ギュッてそのままAがしがみついてきた。



…そっか。

いまのAにとっての正解は寝るでもご飯食べるでもなくて
とにかく一緒にいる事だったんだね。

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