この想いの結末は ４

止まらない ページ47

俺に抱きつくAちゃんを驚いて抱きとめた。

一瞬泣きそうな顔をしてたのが気になった。

ただ、さっきまでのハグと違ってAちゃんの腕が俺に回ってるからハグの密着感が違ってドキドキする。


「…A、ちゃん？」

…やっぱ、急には変えられなくて「ちゃん」がついちゃう。



何も言わないAちゃん。


「…A？」


もう1回名前だけで呼んでみる。



そしたら首に回った腕が少しギュッてなる。

あ、照れてるのかな。



俺もギュッと抱き締めると

「今日、急に来たのに、付き合ってくれてありがとう」

Aは首を小さく振る。

「…私の方がありがとうだよ。今日たいぴーに会えたのが一番のプレゼントだよ」

ものすごく可愛いことを、言ってくれる。
鼻声じゃないから泣いてはないのかな。
良かった。



ダメだ、今日を最後にしばらく会えないとか無理だ。



「ねぇ」

Aの首に顔をうずめながら言う。

「…何？」

少しくすぐったそうな彼女。

「今日からしばらく会えないとか無理」

「は？」

「何とかして会えない？？」



しばらく考えてるA。



「…難しいんじゃない？」

「だよね」

そりゃそうだ。



「でも、休みになったら連絡する」

「…ホント？」

「会えるかは分からないけど、長電話くらい出来るかもだよね」

ふふふって笑うA。


……ヤバい。そう来たか。



嬉しくて、頬にキスした。
少しリップ音のする、一瞬触れるだけのやつ。



「えっ！？」

「絶対だからね」



恥ずかしかったし、突っ込まれたくなかったからすぐにまた首に顔を埋めて抱き締めると髪を撫でた。



「ねえ、ちょっと待って」

明らかに動揺してるA。

「…知らない」

「知らないじゃないよね、待って待って」

「…待たない」



ぎゅーーーって抱きしめる。



「苦しい苦しいっ！！」

背中をバンバン叩くA。

「あはははは」

「もーーっ！そうやってまた誤魔化すっ！」

笑っちゃう俺に怒ってる彼女。
少し腕を緩めた。



…あー、帰りたくないな。でも、



「そろそろ、帰らなきゃ」

「…うん」



もう1回だけ、ギュッてする。



「またね、A」

「うん、またね、…た、太輔」


消えそうな声で言うからもう1回抱き締めた。


あー、ダメだ。帰れなくなる。
心を鬼にして腕をほどいた。


「おやすみ」

頭をポンポンすると、

「…LINE来るまで寝ないからね」

ニコッと笑うA。



…急いで帰らなきゃだな。

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