この想いの結末は ４

心当たりがなさすぎて ページ38

Aside


石垣いちごの通りに出ると、

「はい。これで今日の目的達成ー」

「…ここまで長かったね」

呑気に言うたいぴーに苦笑いしちゃう。



「月見えないね」

たいぴーが言うから空を見てみると

「…あ、だいぶ上にある。しかも細い」

たいぴーの位置から見えないとこにある。


運転中見れないだろうけど

「これは『ツキノミチ』見えないなー」

この前たいぴー夢中になってたから見えたら良かったのになー。



「ねぇ」

たいぴーが呼ぶ。

「ん？」

「水族館の帰り、なんで手を握っててくれたの？」

…また聞くんかい。

「…そんなに気になる？」

「いや、言いたくないなら無理には聞かないけど」

口では言うけどそれなら2回も聞かないでしょ、普通。



じゃあ言うよ。

「んー、気になったからなんだけど」

「何が？」

「たいぴーが寝てる時にね、眉間にシワあったの」

「え」

「だから、悪い夢でも見てるのかなーって心配になって手を握ったら眉間のシワ取れてきたから、そのまま繋いじゃったんだー」

しばらく考え込んでるたいぴー。



「あっ」

「ん？」

急に声を出すからびっくりした。

「マネージャーだ」

「武田さん？」

「そー、マネージャーに妬いたんだ」

ちょっと恥ずかしそうに言う。



あぁ、あの時もう武田さんとアコちゃんカップルか、ってなってたもんねー。
たいぴーは、やっぱりアコちゃんが気になってるのかな。
武田さんとの応援してるをしてる反面？的なやつ？
大切な幼なじみだもんね。



「あー、アコちゃんと仲良かったからね」

私が言うとキョトンとしてるたいぴー。

「え？Aちゃん天然？」

「は？たいぴーがそれ言う？」

ド天然たいぴーに天然呼ばわりされるとは心外。



たいぴーがため息をつく。
喧嘩になるかな、って怯えてたら

「アコに妬くわけないでしょ。Aちゃんと仲良くなってるから妬いたんですけど」

「…え」

え？こっち？？
私と武田さんそんなに仲良く話してた？



「そう、ですか」

びっくりして変なリアクションしちゃう。

「…なんで敬語なの」

「意外過ぎてリアクションに困って」

「えー」

笑っちゃってるたいぴー。



「妬かれるようなことした？」

全然心当たりない。

「すごく仲良く話してた」

「そう？多分眠くならないように話してたんだよ？」

「それがダメなのっ」

むくれてるたいぴー。

…なんなの？ちょっと可愛いんだけど。
それが素ならどっちが天然なのよ。

そうか、会えないのか→←なんでそっちだと思った？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す