この想いの結末は ４

私からでいい？ ページ20

Aside

たいぴーがエンジンを止めた。
沈黙が重い。


「Aちゃん、手、だして」

「え？」

たいぴーが言うから反射的に手を出したら、ギュッて握られてびっくりする。

「…何が不安なのか分からないけど、これはちゃんと仲良くなるために話すんだよ？」

たいぴーがものすごく優しい声で言う。

「…うん」

「俺たちそんなに会って長くないし回数も多くないから、多分お互い誤解してることあるかもしれない。あくまでその擦り合わせだからね？」

「分かった」

もう頷くしかない。
腹をくくる。


むしろ、東京に居たことまず謝りたい。


「…何からかな」

「先に私でもいい？」

迷ってたたいぴーに切り出す。


「…うん」


ちょっと緊張してるたいぴー。

私まで緊張するよ。



「東京に居たのを黙ってたことなんだけど…まず、嘘ついてごめんなさい」

ぺこり、って頭下げたら、たいぴーまで下げた。
たいぴーが下げたら意味ないじゃん。


「たいぴーが武田さんから私が帰ったって言われた前の日に、ホテルでキスラジ聞いて」

ゆっくり話し出す私。

「女友達なんていない、って言われたのがものすごく悲しくて。自分なんなんだろう、って思ったら辛くて、次の日にアコちゃんと会ってたら武田さんから電話来たんだけど、それを奪い取って『たいぴーに帰ったって伝えて下さい』って言っちゃったの」

思い出したら泣きそうになった。

「ちょっと考えればたいぴーの立場でそんなこと言えないの分かるのに、それよりショックが大きくて。…後からアコちゃんにも笑われたんだけど」

涙を堪えるために少し息をついた。

「でも、武田さんに言った後だったからもういいか、って。たいぴーあの頃忙しかったから私への連絡減れば少し楽かな、とも思って」

「…逆だよ」

たいぴーに遮られた。
え？どうして？

「あの時はいつも仕事終わるとAちゃんからLINE来て、安心して、何か返すのが楽しかったから。…寂しかったよ」

…そうだったんだ…。

「ごめんなさい」

「ううん、俺が思いやれなかったんだよ。ちゃんとキスラジでそーいうこと言うから、って言えれば良かったんだよ。特にあの無意識発言の後だったから。普段は無理でも、今回だけは」

「違うよ、たいぴー」

思わず手をギュッて握ったら


「ほら」

ちょっと笑うたいぴー。

「え？」

「ね、手を握ってると本音かどうか分かって良くない？」

あ、それで手を握ってたんだ。

…こういうとこ、好きだな。

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