何から話そう ページ19
エンジンを止めると、途端に静かになる車内。
言い出したのは俺だから、俺からだよな。
でもその前に。
「Aちゃん、手、だして」
「え?」
素直に出してくれるAちゃん。
俺はその手をそっと握ると、彼女の手がピクってなる。
「…何が不安なのか分からないけど、これはちゃんと仲良くなるために話すんだよ?」
「…うん」
「俺たちそんなに会って長くないし回数も多くないから、多分お互い誤解してることあるかもしれない。あくまでその擦り合わせだからね?」
「分かった」
頷く彼女。
よし。
「…何からかな」
「先に私でもいい?」
言い出したAちゃん。
何かよっぽど言いたいのかな。
「…うん」
緊張する。
「東京に居たのを黙ってたことなんだけど」
あ、その話?
「まず、嘘ついてごめんなさい」
ぺこり、って頭下げられたから思わず俺も頭を下げた。
そんな俺にクスって笑うAちゃん。
「たいぴーが武田さんから私が帰ったって言われた前の日に、ホテルでキスラジ聞いて」
あー、やっぱキスラジだったか。
「女友達なんていない、って言われたのがものすごく悲しくて。自分なんなんだろう、って思ったら辛くて、次の日にアコちゃんと会ってたら武田さんから電話来たんだけど、それを奪い取って『たいぴーに帰ったって伝えて下さい』って言っちゃったの」
アコから奪い取ってまで?
想像したらちょっと笑っちゃう。
「ちょっと考えればたいぴーの立場でそんなこと言えないの分かるのに、それよりショックが大きくて。…後からアコちゃんにも笑われたんだけど」
うわー、想像つく。
「でも、武田さんに言った後だったからもういいか、って。たいぴーあの頃忙しかったから私への連絡減れば少し楽かな、とも思って」
「…逆だよ」
まだ話してる途中なのに、つい言っちゃった。
「あの時はいつも仕事終わるとAちゃんからLINE来て、安心して、何か返すのが楽しかったから。…寂しかったよ」
「ごめんなさい」
「ううん、俺が思いやれなかったんだよ。ちゃんとキスラジでそーいうこと言うから、って言えれば良かったんだよ。特にあの無意識発言の後だったから。普段は無理でも、今回だけは」
「違うよ、たいぴー」
ぎゅってAちゃんが俺の手を握る力が強くなる。
「ほら」
「え?」
俺が言うとキョトンとする彼女。
「ね、手を握ってると本音かどうか分かって良くない?」
俺が笑うと、彼女も笑った。
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shizu(プロフ) - ひろぴーさん» コメントありがとうございます!時系列追いついて困ってたらANNPでまさかの爪のお話あったのでもう少し書けそうです!キュンキュンになるか分かりませんがもう少しお待ち下さい☆ (2018年11月26日 4時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
ひろぴー(プロフ) - はじめまして。いつも楽しく読ませて頂いています。もうー!!たまりません…めちゃくちゃきゅんきゅんします。これからも楽しみにしています。 (2018年11月24日 20時) (レス) id: feb04bb6fa (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます!時系列が追いついてきてしまったので更新が少し遅くなるかもしれませんが、今後もよろしくお願いします! (2018年11月18日 21時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - はじめまして。毎日更新楽しみです。主人公ちゃんと藤ヶ谷さんが、好きに突っ走らない感じが大人だなと思うし、こんな思いやれる関係が素敵だなと思いました。続きとっても気になります。 (2018年11月18日 10時) (レス) id: a515c6fe4c (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - AUSさん» コメントありがとうございます。嬉しかったです!少しずつの更新でご期待に添え続けられるか不安ですが、更新頑張ります! (2018年11月16日 2時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shizu | 作成日時:2018年11月11日 0時