この想いの結末は ４

ドライブスタート ページ15

Aちゃんを乗せて、俺も運転席に乗ってバタン、とドアを閉めた。


…さて、これからどうしよう。


勢いで来ちゃったから、これから先のこと考えてなかった。


「…えーっと、お腹すいてる？」

「…ううん、大丈夫」

首を振る彼女。

「…そっか」

ってお腹空いたって言ってもこの時間で、静岡で、どこに行ったらいいかわからないけど。


しばらく沈黙。


「とりあえず、ドライブ行きまーす」

俺はエンジンを掛けた。

何も言わないAちゃん。



しばらく車を走らせてると

「もうアコちゃんの用事済んだ？」

ふいに聞くAちゃん。

「は？なんでアコ？」

「え？アコちゃんちの近所に居るって言うから」

「アコに用事ないよ？」

「あ、そうなんだ」


言ってみていいかな。


「…ただ、Aちゃんに会いに来たんだけど」

「…そっか」


Aちゃんが俯く。

…どうした？？

やっぱ無理矢理過ぎたかな。
急に来たのも、助手席座らせたのも。



「道、分かる？」

ふいにAちゃんが聞く。

「多分、大丈夫。間違えたら言って」

「あはは、間違えた後でいいんだ」

やっと笑う彼女。
少しホッとする。



笑ったら緊張が溶けたのか、車の中をキョロキョロする。

「なんか珍しいの？」

「ううん、…まあ初めて乗る車だから珍しいのもあるけど。それより…」

そこで1度言葉を区切るAちゃん。

「ん？」

「…車がたいぴーっぽいし、車中からたいぴーの匂いしてなんか緊張する」

ちょっとはにかんで笑いながら言う。
…可愛い。

「そっか」

俺はニヤけるのを必死で我慢した。



「海沿い長く走るなら、もうちょっと先まで行けるよ」

ウインカーを出した俺にAちゃんが言う。

「え？この前はショートバージョン？」

「だってちょっとドライブって言ったじゃん」

「そっか」

俺はウインカーを戻す。



…長く居ていいんだ。

ちょっとニヤける。



「この前の三保の水族館から帰った道が…って、寝てたよね」

Aちゃんが言ってニヤって笑う。

「寝てなくてもそこまで道覚えられないよ」

「そりゃそうだよね」

俺が言い返すと笑ってる。



あの水族館の帰り道。

そういえばなんで手を握ってくれてたんだ？



「…あの時さぁ」

「え？」

「水族館の、帰り」

「…うん」

「なんで手を握ってくれてたの？」


しばらく黙ってるAちゃん。


「じゃあなんでたいぴーは今日来てくれたの？」


今度は俺が黙る番だった。

ずるいよ→←これからもあるからね

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