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妹。F -side you- 37 ページ9

合格祝いに
たい兄は普段行けないような
ホテルの中華料理に連れてってくれた。

もう成人してるから
お酒も飲めるし。

でも酔っ払うと甘えたくなるから
あまりお酒は飲まないようにした。



そうしたらまさか
逆にたい兄が酔っ払った。



「たい兄、しっかり歩いてよ」

たい兄の服を引っ張ると

「んー、大丈夫大丈夫」

返事はするけど歩くのはフラフラ歩いてる。



たい兄がここまで酔うとか初めて見るな。



駅から家まで歩いてると

「ね、A、手繋ごうよ」

たい兄が言う。



無理だよ。
忘れられなくなっちゃう。



「たい兄が転んでも助けてあげられないからダメ」

「えー、Aが手繋いでって言った時一度も断ったことなにのに」



たい兄が拗ねる。



仕方ないから手を出すと

「ふふふっ」

嬉しそうにたい兄が手を繋いでくる。



たい兄がブンブン私と繋いだ手を振って歩く。
そして

「あーあ、Aとこうして歩くのももう無いのかなー」

寂しそうに呟く。



……何で?

何でたい兄が寂しそうなの?
ただの妹なのに。



「あはは、たい兄はまた念願の一人暮らしに戻れるじゃん」

泣かないように笑って言ってみると

「この4年間Aとの生活が楽しすぎて1人に戻ったら寂しくなっちゃうなー」

たい兄は本当に悲しそうに呟く。



たい兄のばか。

そんな事言われたら泣いちゃうじゃん。



たい兄が少し前を歩いてる。
だから私が泣きそうな顔になってるのはバレてない。



「たい兄…」



言葉を発したけど後の言葉が続かない。

私も本当はずっとたい兄と居たいよ。
でも私がたい兄に恋愛感情あるなんて知ったら
たい兄は困るでしょ?



「あと少しだけどいろんなとこいっぱい行こうね」



振り返らずにたい兄が言う。



たい兄が酔ってて良かった。
私が黙ってても不思議に思わないみたい。



「うん」

「買い物もしよ。社会人になるんだからカバンとかお財布とかちゃんとしたの買おう」

「いいよ、そんなの」

「本当はスーツとか買いたいけど必要ないもんね。あ、でも一着くらい持ってないと…」

「いいからホントに!!」



過保護なたい兄に笑っちゃうと
溜まってた涙が零れる。

見られないように涙を拭くと
たい兄にバレないように鼻を啜った。



「カバンは欲しいな」

「わかった。鞄と財布とスーツと礼服ね」

「増えてるよ!?」

「社会人は必要なの!」



月の輝く夜道にたい兄と笑い合う。



きっとこの日の事は
一生忘れない。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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