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妹。F -side you- 34 ページ6

大学に入って3年目。

たい兄のサポートのおかげで
忙しい日々は変わらないけど
だんだん成績は上がった。



そして
永瀬くんは唯ちゃんと付き合いだした。

とてもお似合いで
私に声を掛けてきたのも一時の気の迷いだったんだろうって思うし
全く後悔も無かった。



やっぱり私はたい兄がいいんだな、って
心から思う。



暗記するものが増えて
部屋に閉じこもって覚えてたら
頭がパンパンになって破裂しそうだった。



少し気分転換しよう。
水でも飲もう。



フラフラしながらリビングに向かうと
たい兄の話し声が聞こえた。



あれ?たい兄誰かと電話してるのかな。

邪魔をしないようにそっとリビングに入る。



電話の相手が誰かは分からない。

けど少し楽しそうに笑ってる。



「え?うん……あはは、そうだね。うん、うん」

たい兄の優しい声。
きっと電話の先の人の事、たい兄は大好きだろうな。

「早く彼女と仲直りした方がいいよ……知らないよ、俺は会ったことないもん」

たい兄からの『彼女と仲直り』っていうフレーズから相手は男の人なんだってホッとする。




「え?いま?うん、部屋で勉強してるから大丈夫」

たい兄が話してるのは私の事かな。
慌てて何となく隠れる。



「ん?……絶対だめ。大切な妹だから」



何のダメ出しなのかは分からない。



ただ、しっかり聞こえたのは

大切な『妹』



『妹』か。



頭が真っ白になった。



当然だよ?

たい兄にとって私は『妹』なんだから。



少しは意識してもらえたらいいな、なんて思ったけど
『大切な』は付いたけど。

結局『妹』だよね。



水を飲まずに部屋に戻る。

疲れてたから
余計に心が折れた。



たい兄からの『妹』って言葉と
みつ兄からの『だって血の繋がり無くたって、太輔はお前の兄貴だしお前は太輔の妹だろ?』って言葉は
多分一生私を縛るだろうな。



涙も出なかった。

呆然とする事しか出来なかった。



あぁ、そうか。

そんな気持ちだった。



それはそうか。

だってたい兄からしたら
私の存在ってたい兄が好きに暮らしていたのを
邪魔してる存在でしか無かったもんね。



スッて頭がクリアになった。

クリアになった途端、
何も考えられなくなって何も頭に入らなくなった。



ダメだ。

少し眠りたい。



ただ、部屋で寝たら多分起きられないから
またフラフラしながらたい兄の部屋に向かう。



これで最後にするから。

最後のワガママだから。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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