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妹。F -side you- 49 ページ21

みつ兄はそれから
言葉少なで。

みんなでご飯を食べてる間も
あまり食べないしビールも飲まない。

ママは本当に普通だったけど
みつ兄は明らかに元気ない。



みつ兄はやっぱり反対なんだ。

それがものすごく悲しかった。



みつ兄が喜んでくれないなら
たい兄と一緒にいられないな。

だって私は
たい兄が一番好きだけど
次に好きなのはみつ兄とママだもん。



「え、Aどうしたの?」



ママに言われて気づく。

いつの間にか泣いてたみたい。



「………」



言葉に詰まる。

みつ兄ともうご飯食べられないのかな。
みつ兄はもう私に笑ってくれないのかな。

みつ兄は私の事が嫌いになったかな。

そう思ったらどんどん悲しくなってきて
涙が止まらなかった。



「……反対してねーよ」



みつ兄が言う。



「どんな顔していいか分かんねーだけだから」

みつ兄がそっぽ向いたまま言うから
また泣きそうになる。



ほら、こっち見ないじゃん。



「みつ兄、が、嫌なら、嫌だもん…」

「嫌じゃねーよ」

「怒ってるもん」

「怒ってねーよ!」

「ほら!怒ってるじゃん」

「うるせーな」



みつ兄の口調が怖いけどみつ兄をよく見ると
みつ兄は目が真っ赤になってた。



「……寂しいけど嬉しいし、なんか複雑なんだよ!」

みつ兄は一気にビールを飲み干すと

「トイレ!!」

こっちを見ないで席を立つ。



「みつ…」

兄、って呼び掛けようとしたら

「兄貴」

たい兄が呼ぶとみつ兄は一度止まった。



「ちゃんとAを幸せにする」



たい兄が言う。



「………知ってるよ」



みつ兄は返してトイレに行っちゃった。



ママは笑って

「ね、みつは寂しいだけだから」

私にティッシュをくれる。



そうなの?

それだけなの?



涙が止まらない私にたい兄が頭をポンポンしてくれる。

「…大丈夫だよ」

たい兄が安心する笑顔をしてくれるから
本当に大丈夫なんだろうな、って思う。



少しして目をさらに赤くして戻ってきたみつ兄は
パクパクとご飯を食べだして

「かーちゃん、おかわり」

「はいよ」

ママがご飯を取りに行ってくれてる時に

「本当に反対してねーよ」

やっとみつ兄が笑ってくれる。



少し悲しそうな顔に見えるけど。



「幸せになれよ」

やっぱり泣きそうな顔に見えるみつ兄の笑顔。



「うん」「はい」



私とたい兄が頷くと
みつ兄は嬉しそうにやっと笑ってくれた。



良かった…。

心からホッとした。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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