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妹。F -side you- 31 ページ3

たい兄は
『ひろみのしたいようにしたらいいよ』
の言葉通り
何でも叶えてくれた。

一緒に寝てくれたり
休みの日に一緒に出掛けてくれたり。

抱きつかせてもくれた。
頭も撫でてくれた。



ただ、それは私が『妹』だから。

妹がワガママを言って
「甘やかして」って抱きついてくるから抱き返してくれるだけで
たい兄の方から私を抱きしめてくれる事は
一度もなかった。

それほどたい兄にとって私は『妹』だった。



大学では地元が近い(ゆい)ちゃんと秋山くんと
大阪出身の永瀬くんの4人でずっと過ごしていた。

秋山くんには高校時代からの彼女がいて現在遠恋中。
その彼女が来たら5人で遊んでいた。



ただ、自分で門限を21時に決めていて
それ以降は断っていた。

たい兄に遊んでるって嫌われたくなかったし
何より私が早く帰ってたい兄と早く過ごしたかった。



「お兄さん厳しいの?」

「ううん、兄は遊んでおいでって言ってくれてるよ」

「ならもうちょっと…」

「ううん、帰って勉強しないとみんなに追いつけないよ」



唯ちゃんは一番頭がいい。
いつも追いつくのに必死だった。

さすがに大学の勉強は
たい兄に聞けないし。
いつも唯ちゃんに教えてもらっていた。



「Aちゃんより永瀬がヤバいだろ」

「え!ひどない?」

秋山くんと永瀬くんは笑ってる。



「送ろうか?」

「ううん、兄が駅まで来てくれるから大丈夫!」



永瀬くんの誘いを断って
たい兄に連絡する。



「それより唯ちゃんよろしくね。あと、明日も実習だから飲みすぎないでね」

「あはは!ありがとう」



関西の独特のイントネーションが優しい永瀬くんをじっと見てる唯ちゃんを見てれば
なんとなくわかる。

唯ちゃんは永瀬くんが好きだな、って。

だからあまり永瀬くんとは
2人にならないようにした。



駅まで迎えに来てくれるたい兄は

「あはは、A酔ってるね」

ほろ酔いの私の顔を見て笑う。



「ほら、転ぶと危ないから」



私が酔ってる時のたい兄は
自分から私の手を取って手を繋いで歩いてくれる。

だからお酒を飲んだ時は絶対駅まで迎えに来てもらった。
そして誰にも送ってもらわなかった。



たい兄と手を繋いで歩きたいから。



「ありがと、たい兄」

「いーえ」

「今日ね、唯ちゃんがね…」

「うんうん」



その日あった出来事を話しながら帰る帰り道は
とても幸せで。



たい兄の事が好きすぎて
大学卒業までで結論付けられる気がしなくなってきた。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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