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妹。F -side you- 45 ページ17

泣き出す私に
たい兄は

「寒いしとりあえずうちに行こうか」

私の涙を指で拭って言う。



「…うちに?」

「うん」

「たい兄の?」

「うん、すぐ近くだから」



たい兄は私の手を取る。



なんでたい兄はこんなに普通なの?
3年間以上避けてた妹が突然会いに来てるのに。

涙も止まらないし
片っ端からたい兄の会社の前で自分が待ち構えてたとはいえ
偶然たい兄会えて私はこんなにパニクってるのに。



歩き出せない私にたい兄が

「ふふふっ」

笑い出す。



なんだろう?って思ってると

「兄貴がだいぶ前にAが会いに来るだろうけど驚くなよって言っててね」

クスクス笑うたい兄。



…みつ兄、言ってたんだ。

しかも私の行動予想してるとか
やっぱりみつ兄はみつ兄だな。



「でも全然来ないから諦めたのかなって思ってたんだよね」



たい兄はギュッて私を抱き締めると

「……ずっと探してくれてありがとう」

ものすごく優くて温かい声で言う。



もう色々な感情で。

会えて嬉しかったし
抱き締められてどうしていいか分からないし
たい兄のこれはどういう感情でこうしてくれてるの?
妹?それとも……



「A」



たい兄が呼ぶ。



「初めて会った時から好きでした。今もその気持ちに変わりはないです」



腕を解いて涙でぐちゃぐちゃの私の顔を見ると

「これからはずっと一緒にいてください」

フワッて笑う。



本当に?

本当にいいの?



「返事は?」



たい兄が私の涙を手で拭いてくれながら言う。



いいの?

もう言ってもいいの?



「我慢しなくていいの?」

「うん」

「妹なのにいいの?」

「うん」

「お兄ちゃんなのにいいの?」

「うん」

「もう、言ってもいいの?」

「いいよ」



たい兄が優しく笑う。



「たい兄、大好き。ずっと、ずっと好きなの。離れても変わらないの」



言い出したら止まらない。



「忘れようとしたの。でもダメなの。たい兄しか好きになれないの」



言葉も涙も止まらない。



「大好き。たい兄が、…たい兄だけが、好…」

言葉がフワッと近づいたたい兄の唇で塞がれる。




夢みたい。

本当に夢みたい。



こんなに幸せでいいの?

幸せになっていいの?



「……っ」



たい兄の温かい唇が気持ち良くて。

すごく幸せで。



また心がギュッてなる。




唇が離れた時に

「たい兄、大好き」

ちゃんとたい兄を見て言うと
たい兄は嬉しそうに笑ってくれた。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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