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妹。F -side you- 29 ページ1

まだ高1の頃。

成績が上がったおかげで
進路の幅はだいぶ広かった。



「将来どーすんの?」



みつ兄に聞かれた時
ついにこの質問が来た、って思った。



1番の夢は
たい兄のお嫁さんだ。

でもたい兄はそれを望んでいない。



仕事については小さい頃から
なりたいものは決まっていた。



だからみつ兄に

「看護師になりたい」

即答した。

「…へー、そか」

みつ兄が意外そうに私を見る。



パパが入院してた時からずっと憧れていた。

最初は夢のまた夢だったけど
ものすごく勉強したおかげで手の届く範囲になった。



元々たい兄が理数系得意で
教えてくれるのも上手だったのもあった。

私自身たい兄が得意なら私も、っていう
少し(よこしま)な気持ちもありつつ理数が得意で
今では理数なら学年でも上位をキープしてる。



「大変な仕事だぞ?覚悟出来てんの?」

「うん」

「…そか。なら頑張れよ」



みつ兄は認めてくれて。

第一段階はクリア。



ここからは私の作戦だ。



「でね、私、大学からひとり暮らししたい」

「はぁっ!?」



みつ兄がものすごく大きな声を出す。
あまりに大きな声だったから

「なに?大声出して」

ママもやってくる。だから

「あのね、何でも1人で出来るようになりたいから大学からたい兄みたいに一人暮らししたい」

敢えてママに言う。



ママは悲しそうな顔をするし

「反対に決まってんだろ!?危ねーだろ!!」

過保護なみつ兄は当然怒る。




「このままだとママにずっと甘えちゃうもん」

最近『お母さん』って呼んでるのにあえて『ママ』呼びをしておねだり顔をすると
ママが少し怯む。

「学生のうちは甘えて構わないよ?」

ママは言うし

「絶対ダメ!学費出さねーぞ!」

いまはパパの代わりになりつつあるみつ兄は
凄んでくるけど。



ここまでは想定内。
ドキドキしながら切り出してみる。

「……じゃあ、たい兄んとこなら行ってもいい?」

「は?」「え?」

2人が驚いた顔をしてる。



「たい兄の所ならママもみつ兄も安心だし、たい兄に私がご飯作ったり出来るし」



提案してみると

「…確かに太輔ご飯食べない事あるから心配なのよね」

ママが賛成に傾いて

「………」

みつ兄は私を睨んだまま。



でも私はこの4年に賭けようと思っていた。

たい兄に私の事を好きになって貰えるように。
それでダメなら諦めようって。



だから私もみつ兄を見つめ返す。



私は真剣だよ、って伝えたくて。

妹。F -side you- 30→



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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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