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シロツメクサ Ki 13 ページ36

それ以来北山さんは
たまにうちに突撃してくる。

休みの日に家にいると
夜にチャイムが鳴るようになった。

ペースにしたら2週間に1〜2回。



北山さん、相当寂しいんだな。

でも私も寂しいからちょうど良かった。



お互いあまり踏み込んだ話をしなかった。

だから私は未だに北山さんの家族構成すら知らない。
彼女の有無も。




ただこれだけ頻繁にご飯を誘われるという事は
もしかしていないのかな。

それともお互いご飯くらいなら干渉しないお付き合いをしているのかな。



そんなある日。

焼肉屋さんに行こうとしたらまさかの



『臨時休業』



「……どうします?」

「……今日カフェも休みなんですよねー」



2人で途方に暮れる。



お互い近所のつもりだったし
匂いがついてもいいように汚れてもいい格好だったから遠出も出来ないし
そもそも私たちは遠出やいい所でご飯を食べる関係ではないから。

行くとしても
せいぜい牛丼のチェーン店かな。



「コンビニかほか弁買って帰るってどう?」

北山さんが言う。
まぁいいか、仕方ない。

「うん」

それぞれ家で食べるしかないかな。
そう思ってたら

「んで、Aさんちで食べようよ」

サラッと北山さんは言う。



「えぇっ!?」

何でウチなの!?

「しじみ汁飲みたいんだよねー、あれめちゃくちゃウマかった!」

目をキラキラさせて北山さんが言う。



……えっと。

作って届けますけど。



言おうとしたら

「あ、そか。女の子の家に行くって良くないとか気にする感じだよね。そりゃそうだよね」

北山さんは1人でしゃべりだして。



「やましい気持ちとかないから!いま俺の家資料散らかってて片付け面倒だなーと思って!だからつい…」

北山さんはまだ話続けてて

「大丈夫!俺、悪いことしないから!!気になるなら玄関のドア開けてていいから!!」

なんて言い出して。



面白くなってきて笑っちゃうと

「…笑うことないじゃん」

北山さんが大袈裟に拗ねてまた笑っちゃう。



ここまで言うなら大丈夫だよね。

「わかった、ご飯買ってうちでしじみ汁飲もう」

「え!いいの!?」

北山さんが顔を輝かせる。



「ただし、お弁当は北山さんの奢りね」

そうすれば気も引けないだろうし。

「奢る奢る!お弁当いくつ買ってくれてもいい!」

嬉しそうに笑う北山さんの笑顔が眩しくて。




嬉しそうな笑顔が夜なのに眩しいな、と思うと同時に
この感覚が
どこか懐かしいなんて思った。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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