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シロツメクサ Ki 6 ページ29

もうベランダで歌えない。

いや、そもそも歌うなって話だ。



「あ、言わなきゃ良かったなー。もう歌ってもらえなくなっちゃうよねー」

「…えぇ、まぁ」

「アハハ、歌ってよー」

「歌いませんっ」



なんなんだろう。

軽いなー。



「それじゃ、失礼しまーす」

足音がして北山さんが多分部屋に戻ってる。

「あ、はい」

「どもー」

カラカラ、パタン、とベランダが閉まる音。



1人になった途端、
何だか寂しい気持ちになった。



北山さんと話せて
少しテンションが上がってる。

ダメなのに。
北山さんには彼女いるのに。



そしてもう私は男の人は信じないって
決めてるから。



何だか悲しくなって布団に入る。



………どのくらい眠ったのか。

何だかむしゃくしゃしたから
今日は1人でめちゃくちゃ飲み食いしよう!って決めて
ほぼ部屋着の状態で財布だけ持つといつも行く近所の焼肉屋さんに行く。



「ビールとタンとカルビとハラミ下さいっ」

「あいよー」

「あと、白いご飯と韓国のりっ」



来たビールを半分くらい一気に飲む。



「あーーーっ、美味しっ」

「あはは、いい飲みっぷりだね」

タンを持ってきてくれたおばちゃんから

「はい、これサービス」

カクテキももらって

「ありがとうございますっ!嬉しいー」

ものすごくテンションが上がる。



モリモリ食べてビールも飲んだけど
お店で鍛えられてるからか全然酔えない。

でも胃が満たされたらすごく満足した。



「ご馳走様でしたっ!」

「はーい、また来てねっ」



お店を後にして家路につく。

空を見上げてため息をつく。



……寂しいな。

こういう夜に、一緒にいられる人がいたらいいのに。



思えば聖也はそれだけで一緒にいたかな。

いつもニコニコしてくれてて
こんな時に抱きつくとずっと一緒にいてくれて
ただただ寂しい時を埋めてくれてた。

それだけで良かった。



お金のことなんか気にしないから
帰ってきてくれないかな。



……あぁ、完全に弱ってる。



逃げるように家に帰ってベッドにくるまる。

頭まで布団に被って泣いて
いつの間にか眠っていた。



今朝北山さんと話したのが悪かった。

なんでもない会話が楽しくて仕方なかった。



朝起きてゴミ捨てに出て
戻ったタイミングでスーツ姿の北山さんと鉢合わせする。



「おはようございます」



キラキラの顔の北山さんが嫌で

「……おはようございます」

無愛想に返すと逃げるように部屋に戻った。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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