検索窓
今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:88,244 hit

シロツメクサ Ki 2 ページ25

そして大人になって。

クオーターで見た目は派手だから
よく誤解される。

実際は陰キャなのに
遊んでると思われがちだった。



少し関われば
私が暗いことも分かるんだけど。

見た目とのギャップでものすごく苦労した。



そして男運が絶望的に悪かった。

壊滅的だった。



付き合おうって言われて
断る理由がないから付き合うと
二股かけられてたり浮気されたり。



同棲解消の捨て台詞はたいてい

『どうせお前も遊んでただろ?』

だった。



あなたの帰りを待って
炊事洗濯家事掃除やってた私のどこに
そんな暇があったと言うの?



そして27の時に出会った聖也くんは
今まで私が出会った中で
一番誠実だった。

パチンコも競馬もやらないし
仕事が終わると会社の付き合いもほぼゼロで
まっすぐ帰ってきてくれた。

家事も一緒にしてくれたし
何より優しかった。



同棲して半年でプロポーズされて
来年結婚しようって言われて
お互いの全財産を一緒に貯金した。



そしてある日突然いなくなった。

『ごめん』

の書き置きと共に。



次の日私のところに身に覚えのない請求が来た。



私を連帯保証人にして
彼は借金をしていた。

0の数が7つあった。



あぁもう終わった。

会社にも寿退社するって言っちゃったし
後任の人への教育も終えて先日退職したところだ。



…死亡保険なら親に迷惑をかけずに済むかな。



下を車が走る歩道橋から身を乗りして飛び降りようとした時

「おやめなさい」

止めてくれたのが小夜子ママだった。



その人は私を上から下まで眺めて

「その覚悟があるならちょっと手伝ってみない?」

そう言われて連れていかれたのが今私が勤めているお店の
CLUB『Eve』だった。



「ちょうど今日欠勤が出て今日に限って予約いっぱいなのよ」



小夜子ママに言われる通りに
ドレスを着てメイクをして髪を上げて。

言われるがままに働いたら疲れて。
でもどこか心地いい疲れだった。



「はい、今日のお給料」



渡された0が4つの袋。



私の借金を返すにはあと何回これすればいいのかな。

でも迷ってる暇はない。



「…ここで働かせて貰えませんか?」

「………いいわよ」



ニッと笑う小夜子ママは後に

「ホント、安い買い物したわー。死に損ないのアンタのおかげでだいぶ売り上げ良くなったもんねー」

って笑ったけど。

それは助けてくれた小夜子ママへの恩返しに必死だったからで。



私はこの日以来
『Eve』に生涯を捧げると決めた。

シロツメクサ Ki 3→←シロツメクサ Ki 1



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (168 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
395人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。