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妹。F -side you- 39 ページ11

仕事を初めて2年は
あっという間だった。

ママやみつ兄とは
何度も会った。

外泊許可をもらって
しょっちゅうみつ兄に会ったり
実家に泊まりに行った。

ただ、全部平日だった。


そうすればたい兄に会うことはないから。



みつ兄はまだ彼女がいないらしく
私が泊まりに行っても何も言わない。

逆に

「メシ作ってよー」

みつ兄と会う時はみつ兄の家で
私がご飯を作って食べる。

寮生活だとご飯を作らないから
たまに料理したいし
私的には問題無かった。



今日も豚の生姜焼きとママ特製の味噌汁を作ると

「あー、母ちゃんの味だなー」

みつ兄はものすごく嬉しそう。



「ほんと?」

「うん、母ちゃんが作るのと一緒」

「やった!」



みつ兄に褒められてものすごく嬉しくて。

テンションが上がってると
みつ兄のスマホが鳴る。



「あ、わり。仕事の電話だ」

「はーい」



テレビのボリュームを絞ってると

「はい、北山です」

みつ兄が電話に出る。



え?北山??

びっくりして振り返ると
みつ兄は何事もない感じで電話している。



「はい、はい。……承知しました!じゃあ棚は変更ですね!明日もう一度見積もりお送りしますんで!……はい。ご連絡ありがとうございます、失礼します」

みつ兄が電話が終わって私がじーっと見てるのに気づくと

「…ん?俺が電話してるのそんなに変?」

スマホで何やらメモをしてるけど。



「変なのはそこじゃなくて」

「あん?」

「名前。何?北山って」

「あれ?言ってなかった?俺、ばーちゃんとこの養子になったんだけど」

「えぇっ!?」



驚いてものすごく大きな声を出したら
みつ兄が「うるさっ」って呟くけど。

知らなかったものは知らなかったもん!



でも確かに私がたい兄と血が繋がってないって知ったきっかけも
『北山』を誰かが継いでほしいって話だったって思い出す。



「別に関係ねーじゃん。苗字とか血の繋がりとか。俺たちだけが分かってりゃいいじゃん」

「そーだけど」

「…んだよ、Aも太輔と同じ顔してさー。仕方ねーじゃん、俺以外誰が苗字継ぐんだよ」



不貞腐れながら言うみつ兄の口から
久しぶりにたい兄の名前を聞いてドキッとする。



「…つーかさ、A」

「ん?」

「太輔にちゃんと会ってんの?」

「………会えてない」

「ふーーん」



みつ兄はそれ以上何も聞かずに
自分はビールを飲んでまたご飯を食べ始めたけど。



久しぶりに聞くたい兄の名前に
ドキドキしていた。

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shizu(プロフ) - りーちゃんさん» コメントありがとうございます!気づいてなくてごめんなさい。最近更新頑張ってますのでまた読みに来てください。 (2021年2月6日 12時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りーちゃん(プロフ) - shizuさんのお話、ほんとどれも大好きです。また更新楽しみにしてます♪ (2021年2月3日 22時) (レス) id: 08f03cdb41 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年1月28日 12時

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