太陽の当たる場所 7

Mission of Love 27 side 2 ページ46

結局
おばあちゃんちを出たのは
夕方だった。

本当は今日も夕飯前に
夕焼けを見ながら温泉にゆっくり入ろうって言ってたのに
Aのおばあちゃんちで過ごすのが楽しくて
旅館に着いたのは夕飯前になっちゃった。



夕飯が来るまでにひとまずシャワーを浴びる。

せっかく温泉だしちょっとだけでもお湯に浸かろう、って
2人でお湯に浸かった。

鼻歌を歌って上機嫌な俺にAが笑ってる。



「そんなに楽しかった？」

「うんっ！」

「…ならいいけど」



Aは何だか腑に落ちない顔をしてて。



「『けど』何？」

「今日も明日も私とおばあちゃんに付き合ってくれちゃうから申し訳なくて」



Aが気にしてる。

そんなの気にしなくていいのに。



「あのね。今回の目的は温泉と、美味しいものと、ずーっとAと居る事だから」

Aを抱き寄せようとすると

「ダメ。ニカここでくっつくとのぼせるもん」

俺と距離を取ろうとする。



何それっ。
もう大丈夫だもん！

ムカついたから
思い切りAを引き寄せた。



「ちょっと！」

Aは文句を言うけど

「今日のAは無理とかダメとか言い過ぎ」

動画見ちゃダメとか歌の練習無理とか。
Aこそ文句ばっかじゃん。



ギュッて抱き締めて閉じ込めると
Aは無抵抗になって少ししたら俺にもたれてくる。



「…なんかね」

Aが呟く。



「ん？」

「なんかもう、色々怖い」

「怖い？」



Aがギュッて俺の腕にしがみついてくる。



「美味しいもの食べて、温泉楽しくて、おばあちゃんとも仲良くしてくれて、明日お墓参り行くって言ってくれて」

何だか言いながらAの声が泣きそうになってる。



「可愛いとかカッコイイとか歌上手いとか、超絶好きとかニカは言ってくれるけどね」

「うん」

「今までこんな事なかったから不安になっちゃう。こんなに嬉しくて、楽しくて、幸せでいいのかなって。バチあたらないかなって」

「あはははは、当たらないよ」



笑い飛ばすんだけど

「だって、今までないもん。こんなに幸せなこと」

Aはただただ不安そうで。



「それか、幸せだな、って思った後はものすごく嫌な思いしかして来てないから…」



ギュッて俺の手に指を絡ませる。



あー、なるほどね。

それでなんか様子がおかしいのね？



てゆーか何それ。
A、めっちゃ可愛いんだけど。

俺のすることで幸せとか
すごく嬉しいこと言ってるじゃん。



ヤバくない？

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