太陽の当たる場所 7

Mission of Love 18 side 2 ページ28

Aが嫌がるから
1人で温泉に浸かる。

今回泊まるところはコテージみたいに独立してて
木に囲まれて森の中みたいになってるけど
温泉は露天風呂で
景色がとても開放的になってて
周りからは見えにくい仕組みになってる。

この景色が気に入ってココにしたんだけど。

山が夕日にめちゃくちゃ綺麗に照らされてて。

前は夜しか温泉に入らなかったから気づかなかったけど
これは日が沈んだら見えないし
Aに見せたい！って思った。



慌てて迎えに行くと
何だかモタモタしてるから

「そんなのいいから！早くっ」

手を引いてシャワーをかけると最初冷たかったのか

「冷たっ」

小さくAが悲鳴をあげてるけど
そんなの知らない！



「メイク落としそこにあるから使ったらサッサと来てよ！」

言い捨てて温泉に浸かってると
ちゃんとすぐに来たAは

「…うわぁ」

ドアを開けてびっくりしてる。



「ね、ヤバくない？」

「うん、これは綺麗」



山に目線を固定したまま掛け湯をすると
温泉に浸かるA。



「あー、気持ちいいー」

「ね、いいでしょ？」



少し俺から距離を取って浸かってるAは
俺の方を全く見ないで景色に夢中。



改めて
お互い裸なんだよねって気づいたら
なんか急に照れてくる。



「ものすごく綺麗」



Aが呟いて

「ありがとう、ニカ」

振り返るAがものすごく嬉しそうで。



「ね、呼んで正解でしょ？」

「うん、嬉しい」



Aが夕焼けに夢中になってるから
そっとAに近づいて背中に回ると抱き締めた。

Aは少しびっくりしてから
ゆっくり俺にもたれかかって

「こーゆーの、いいね」

ちっちゃくAが呟く。



「ん？」

「ものすごくいい景色で、温泉で、近くにニカがいて」



Aが俺を振り返ると

「連れてきてくれて、ありがとう」

俺の手に自分の手を重ねて嬉しそうに言う。



ほーら、良かったじゃん。
あれだけ反対してたのにね。

「ね、来て良かったでしょ？」

「うん。ありがとう」

お礼まで言ってきて
ものすごく素直なAが貴重。



「ドラえもんの言うことは聞くものだよ？」

「ありがとう、ドラちゃん」

「あははは、まだしずかちゃんのつもり？」

「しずかちゃんだもん」



クスクス笑い合うとふとお互い笑うのが止まって。



近い距離で見つめ合うと
顔を近づけてもAが逃げなくてゆっくり目を閉じたから唇を重ねる。



……めっちゃ幸せだ。

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