太陽の当たる場所 7

Mission of Love 11 ページ13

ニカはどこまでもニカ。

甘くない時は
とことん厳しい。

容赦なく
私に現実を突きつける。



ニカの決意に

「無事に行って帰ってこようね」

そう言うのが精一杯だった。



精一杯の強がり。

自分で言ってて泣きそうだった。



ニカがそんな私に気づいて

「あーもう、言わなきゃ良かった」

って言う。



ホントだよ。

「聞かなきゃ良かった」

私も返す。
泣かないように怒ってみた。



ニカは名前を呼んでくれないし
ワガママばっかり言うし。



「もう嫌いになるかも」



出来ないなんて分かってるけど言う。

ニカなんか嫌いになれたらいいのに。
嫌いになれたらどんだけ楽だろう。



「無理だよ、のび太はドラえもんいないと生きていけないから」



ニカはドヤ顔で言う。



確かにそうだろう。

でもそれが悔しいよ。



「…もう寝る」

悔しいからニカに背を向けた。



「そ。じゃあ、おやすみ」



ニカはポンポン、って私の頭を優しく触ると
ベッドが軋んで布の擦れる音がしたから
多分寝る体勢になったんだろう。



………悔しい。

ニカの思うツボなのがものすごく悔しい。




悔しい気持ちのままだから全然寝付けない。

いつもならすぐ眠くなるのに。



ニカの手もないし
不安なこと言われたし

だから余計に全然寝付けなくて。



いつもみたいにニカの顔を見てたら眠くなるかな。



振り返ってみたら
ニカは寝ないで困った顔で私を見てる。



「ごめんね。俺、嘘ついたりとか計算とか出来ないから思ったことすぐ言っちゃうんだよね」



ものすごく優しい声でニカは言う。



そうだね。

でもそんなニカだから
私もニカが好きなんだと思う。



隠し事が出来なくて
でもそのくせ結局自分が言った事で傷ついてないかとか
ものすごく気にしてて。

だから今もこうして
私がどうしてるか寝ないで見守ってるんだもんね。



「知ってる。のび太はジャイアンの心の友だからね」

「…そっか」



ニカは嬉しそうに笑って
私を抱き寄せた。



「大好き」



そして始まるニカのアメとムチ。

ニカの言いたい事は分かるけど
今日の私は相当へそを曲げてるから返事はしてあげない。



抱き返さないで
そのままニカに包まれてされるがままになっていた。



なんだかんだニカの体温に包まれてたら
不安な気持ちも残ってるけど
やっぱり眠くなってくる。



ニカが私が寝かかってるのに気づいて
腕を解くのを遠くに感じたのが最後の記憶。



結局朝までぐっすりだった。

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