太陽の当たる場所 5

SPARK 19 side 2 ページ46

今日に限って撮影は長い。

ただ7人で撮影だからマネージャーは揃ってる。



だからお願いすることにした。



「小林ちゃんっ」

小林ちゃんを隅に呼んで

「一生のお願い！ちっちゃいのでいいからケーキ買ってきて！『HappyBirthday』のプレート付きで」

「え！今ですか？」

「帰りまででいいから！お願いっ」



小林ちゃんに無理言って買ってきてもらって
Aちゃんちに送ってもらう。


ミツが言う
Aちゃんが何をしたら喜ぶかなんて分からなくて。

とにかく会いに行こうって決めた。

そして精一杯謝って
何があったか教えてもらおうって。



Aちゃんの元彼たちと俺は違うから。

Aちゃんのそばを離れたりしない。
絶対に！！



Aちゃんちに着いてシャワーを浴びると
髪も乾かなさないで

「Aちゃんっ」

リビングに入る。



テレビはついてるけどAちゃんの姿すら見えない。

あれ？



ソファに近づくと
可愛い部屋着を着たAちゃんがソファで丸まってる。

涙の跡いっぱいつけて
腫れた目で。



……また1人で泣いて。



「Aちゃん」

声を掛けるけど全然起きない。

「Aちゃんってば」

揺するとやっと起きるAちゃんは
俺に気づいて一瞬だけ嬉しそうな顔。

でもすぐにまた泣きそうな顔になって
ケーキに気づいてさらに悲しそうな顔をする。



こんな顔にしたのは俺で。

でもこの顔を笑顔に出来るのも俺のはず。



誕生日の日に何があったか聞くと

「見ちゃたの、手紙」

「………手紙？」

「あの日、ニカのファンの子に会いに行ってたんでしょ？」

なんてよく分からないことを言われる。



「落ちてたの、ニカの『彼女』になりたいっていう手紙」

あの日に会いたいって書いてあったらしい。



……あの変なメモたちが捨てきれてなかったんだ。



「あの時はね、マネージャーに病院連れてってもらってたの」

そう言うと

「そうなの？」

涙を目に溜めてまた泣きそうなAちゃん。

「そうだよ」

嘘なんかついてないのに
Aちゃんは不安そう。



クリスマスにちゃんと伝えれば良かった。

でもこれだけキスして抱き合ってたし
分かるでしょ？って思って言わなかった。



肝心な事を伝えないで中途半端にしてたから
訳の分からない紙で俺たちこんな風になってたなんて。



だからちゃんと言った。



「俺、Aちゃんが好き。もう二度と誕生日に…ううん、それ以外も泣かせたりしたくない」

って。

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