太陽の当たる場所 5

SPARK 19 ページ45

愛子さんの前で
ものすごく泣いた後
愛子さんに夕飯を持たされて
家に帰る。



シャワーに直行してバスタブにお湯を張った。

今日はのんびりしよう。



愛子さんがくれたのはモコモコの部屋着で。

さっそく着てみる。



…可愛い。

これはテンション上がるな。



でも鏡を見てみると
嬉しいのに全く笑っていない自分が写ってる。



ホントだ。
私、笑ってない。



でも笑えないや。

どうやって笑ってたっけ。



頬を抑えて口角を上げてみたけど
全然ダメだった。



リビングに向かって
テレビをつけるといつもニカと見てたバラエティの時間で。

しばらく見てるけど今日も全然面白くない。
この前はものすごく面白かったのに。



見てても思い出すのは
ニカの笑顔ばかりだった。



……何これ
全然面白くないじゃん。

むしろ泣けるんですけど。



見てるうちに涙が溢れて。

泣き疲れたらいつの間にか眠っちゃってた。




どのくらい経ったのかな。

「……ちゃん。…ちゃんてば」

声がする。



ゆさゆさ、って体が揺すられてる。



目を開けると目の前にはニカ。



「風邪引くよ」

「ありがと」



目を擦って体を起こすと
目の前にはケーキが置かれてる。



………え？



「誕生日、おめでと」



口では『おめでとう』って言うニカは
悲しそうな顔をしてる。



何もめでたくなんかないよ。

もう誕生日なんて言葉聞きたくない。



特にニカからは。



「…何で？」

涙が溢れてくる。



「何でニカが知ってるの？」

「ミツが日は分からないけどこの前誕生日だったっぽいって言ってて」



ニカは私の涙を指で拭ってくれる。

やっぱり北山さんに誕生日の話聞かれてたんだ。



「もしかしたらうちに来てくれた時かなって」



ニカが言う。



そうだけど。

確かにそうだけど。



「でもそれだけでこんなにならないよね」

ニカは言う。



さすがニカ。

私の事を分かっちゃってる。



ニカから終わらせてもらおうと思った。

だけどもう限界だ。
私もしんどいし楽になろう。



「見ちゃたの、手紙」



言うとニカが本当に不思議そうな顔をする。

「……手紙？」

手紙って言い方がピンと来てないのかな。
首を傾げてる。



「あの日、ニカのファンの子に会いに行ってたんでしょ？」



緊張する。

うん、って言われるのが分かってるから。
心臓もバクバクしてる。



少ししてニカが

「何の事？」

本当に不思議そうに聞き返してくる。




……違うの？

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