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Fake。5 side 2 ページ10

「なに、さっきの」

やっと個室が空いて
ミツが個室に入るなり笑って言う。



「ん?」

「『俺の方が仲がいいんです〜』アピール」



クックックッてミツが笑う。



やっぱり思った通り。
つっこむと思ってた。



そりゃだって

「…Aちゃんは俺の友達だもん」

「わーかってるよ、そんな事」

ミツはからかってる顔をしてないから
ホントに俺の友達なのをちゃんと分かってるのは伝わる。



「いいよな、二階堂は」

「何が?」

「Aちゃんが好き、ってちゃんと伝えられて」

「…は?」

ミツがサラッと言うからつい手が止まる。



「え?違うの?」

「………いやいやいやいや」



もぐもぐ美味しそうにスペアリブを頬張るミツに
全力でつっこむ。



「俺とAちゃんは違うよ?」

「え?何が?」

「別にそういう仲じゃ…」

「そーゆー仲ってどんな仲?」

「だからその、」

「友達なんだろ?」



何か間違ってる?って顔のミツ。



……うわ、騙された。

自分の顔が赤くなってるのを感じる。



ミツは特に変わらない。

だから悪気はない…というよりは
俺のリアクションも予想してたな、これ。



「ずるっ」

「えー?なんでー?」



ニヤニヤするミツ。

ほらやっぱり。
あーこのパターンのミツ苦手っ。



「意地悪」

「だからなんでだよ?別に友達ならかんけーねーだろ?」



不貞腐れる俺にミツはニヤニヤしてる。



「でさ、冬のツアーさぁ…」

なんてサラッと仕事の話をしだして
でも仕事の話をダラダラするのがお互いそんなに好きじゃないから
少し話して終わる。



「いいなぁ、二階堂は」

ポツリとミツが呟く。



「何が?」

「好きな人に好きって伝えられて」

「は?」



また唐突にさっきと同じ事をミツが言う。



「俺は友達の『好き』でも言えねーんだ」

「………は?」

「関係性のバランスが絶妙でね」



ふと一瞬寂しそうな顔をするミツ。



…こんな顔、長年ミツの事知ってるのに
見た事ないんだけど。

『どんな子なの?』なんて聞ける雰囲気じゃないことも長年の付き合いでなんとなく感じる。



ミツは

「やべ、飲みすぎた」

って苦笑いしてトイレに行っちゃう。



取り残された俺は呆然とすることしか出来なくて。



少しして戻ったミツは

「お、グラス空いてんじゃん。何飲む?」

っていつもの調子でさっきの話を聞ける雰囲気じゃなくて。



俺の話を聞いてくれたみたいに
いつかミツの話も聞いてあげられたらいいな。

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shizu(プロフ) - はるるさん» ありがとうございます!はるるさんも熱中症には気をつけてくださいね! (2020年8月18日 0時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
はるる(プロフ) - shizuさん» 楽しみにしてます!まだまだ暑さが続くようですので、健康にはお気をつけください。 (2020年8月16日 7時) (レス) id: 385ecda6e8 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - はるるさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてものすごく嬉しいです(〃▽〃)少しずつですが更新していきますのでまた是非読みに来て下さい! (2020年8月15日 10時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
はるる(プロフ) - shizuさんの作品、ほぼ全部見てます。大好きです。これからも応援してます。 (2020年8月14日 10時) (レス) id: 385ecda6e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年7月18日 15時

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