太陽の当たる場所 3

Fake。12 side 2 ページ24

Mステ終わりに
帰る支度をしてるとミツがもう出るとこで。

「え、早っ」

「大倉が待ってんの」

「へーやっぱり今日は大倉くんか。ガヤさんじゃないの？」

「ちげーし！つか藤ヶ谷にも怒られるぞ？」

ミツはアッアッアッて笑って「お先ーっ」って帰っていく。



俺も帰ろうとしたら
ミツのマネージャーがスタンバってて

「二階堂さんと横尾さんは私が送ります」

ってニコリともせず言う。



ホント、ミツの専属のマネージャーはロボットみたい。
滅多に笑わない。

場の空気を読んで微笑む程度はあるけど
笑い声を聞いた事がない。



けどものすごく仕事が出来て
ミツと『あうんの呼吸』ってヤツで仕事するし
マイクロバスですごい細い道も普通に走るし
舞祭組ツアーについてもらった時も流れを台本見ないで全部覚えてたし。



そっか。
今日はミツが大倉くんとこのまま出掛けて送らないからか。
それなら今日は早く帰れるなー。

「よろしくー」

ミツマネに近づくと

「あ、俺今日別んとこ行きたいからニカを先に送ってもらっていい？」

ワタから素敵な提案。



ん！じゃあAちゃんとこ行こうかな。



車の2列目に乗って少し走ったとこで

「二階堂さん、頭痛大丈夫ですか？」

不意にミツマネが声を掛けてくる。

「へ？」

「今日、変に雨が降ったり止んだりしてたから気圧不安定で辛かったんじゃないですか？」

なんて声を掛けてくる。

今日は他のグループもいてみんなテンション高かったし
俺も楽しかったから痛い感じあまり出してなかったんだけど。



「え、気づいてたの？」

「さすがに俺らも気づいてたけど」

なんてワタは言うけど。



メンバーは分かるけど
ミツマネはまだ1年経ってないし
俺につくことほとんどないのに。



「今日は頭がとにかく重かった」

「…やっぱり。何も出来なくてごめんなさい」

「ううん、いーの。楽しくて気は紛れてたからっ」



申し訳なさそうなミツマネが逆に申し訳ないんだけど。
みんなと話すのが楽しくて痛みを考えなくて済んだのは事実。



「うちの兄が偏頭痛持ちだったので少し分かるんです」

「へー！」

「1日1回必ず偏頭痛にいいっていう食べ物出たんです。ひじきとかチーズとか」

「あー言うよね」


うちの母親も作ってくれてた。



「だからお酒もワインが多いんです」

「あはは、ワインはワインで二日酔いになって頭痛そー」



俺が笑ってもミツマネは笑わない。



笑わないけど優しいなーって思った。

Fake。13→←Fake。12

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す