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Fake。7 side 2 ページ14

Aちゃんの声が聞こえるように
と思ってトイレに来たけど
思ったより聞こえない。



気になる。
ものすごく気になるけど。

…ダメだ。
盗み聞きは良くない。



トイレを出ると

「まだ若いのにもう決めきるの?」

そいつがAちゃんに聞いてる。



これは仕方ないんだよ?
盗み聞きじゃないよ
通ったら聞こえちゃうんだもん。



でも何となく歩くのがゆっくりになって
一体何を決めてるの?って気になって聞き耳を立てたら

「はい。もう1人で生きていく事に決めてますから」

Aちゃんがそう答えてるってことは
多分そいつの事を断ってるのはわかる。



ものすごくホッとした。

良かった。
Aちゃんに俺以上の存在作って欲しくなかったから。
俺が一番が良かったから。



ただソイツがなかなかしつこい。

「でもそれならまだ俺にもチャンスあるよね?」

まだ食い下がるけど

「いえ、私は決めてますから」

「そんなのまだ分からないでしょ」

「もう決めてるんです」

笑っちゃうくらい頑固なAちゃんは
そいつが何を言っても遮断してる。



ひとまず個室に入るとため息をつく。



良かった。
俺が一番のままだ。

前に言ってくれてたもんね。
『ニカが友達でいてくれればいい』って。
申し訳ないけどAちゃんの一番は譲る気ないからね。



AちゃんにLINEでスペアリブを頼んでもらうようにお願いして
少しして個室にやってきたAちゃんは
全然元気が無くて。



相手が誰であれ告白されたなら
自分が認められて少しでも嬉しいはずなのに。



「…どしたの?」

「え?」

「元気ないね」

「そう?」

慌てて無理して微笑むAちゃんを見てやっと気づく。



もしかして。

前の彼氏思い出しちゃった?
同じ職場の人だったって言ってたもんね。



それなら。

「ね、今日この後Aちゃんち行っていい?」

「え?明日お仕事でしょ?」

Aちゃんがびっくりしてる。



それには返事をしないで仕事用のスマホで小林ちゃんにLINEを送る。

すぐに返事が来た。



「マネージャーも迎えに来てくれるって!」

Aちゃんに『明日のお迎えいつものとこ!』『承知しました』のやり取りを見せると

「…そう」

何だか苦笑い。



「めっちゃ癒すよ、Aちゃんのこと」

「…別に元気だけど」

「嘘ばっかり。そんな泣きそうな顔で」



そう言うとAちゃんはまた強がって

「元気だし!」

って烏龍茶を飲み干す。



わかりやすっ。

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shizu(プロフ) - はるるさん» ありがとうございます!はるるさんも熱中症には気をつけてくださいね! (2020年8月18日 0時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
はるる(プロフ) - shizuさん» 楽しみにしてます!まだまだ暑さが続くようですので、健康にはお気をつけください。 (2020年8月16日 7時) (レス) id: 385ecda6e8 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - はるるさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてものすごく嬉しいです(〃▽〃)少しずつですが更新していきますのでまた是非読みに来て下さい! (2020年8月15日 10時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
はるる(プロフ) - shizuさんの作品、ほぼ全部見てます。大好きです。これからも応援してます。 (2020年8月14日 10時) (レス) id: 385ecda6e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年7月18日 15時

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