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Fake。7 ページ13

「彼氏いるの?」

ニカがトイレに入った背中を見送ってると
田原先輩が言う。



「いません」

答えると

「好きな人は?」

田原先輩がさらに聞いてくる。



好きな人。

そんな人は………



「………いません」



何だか間が空いちゃう。



「なら、まだ俺のこと少しは考えてくれても」

「いえもう彼氏は作らないです」



キッパリ言い切る私に田原先輩が苦笑い。



「まだ若いのにもう決めきるの?」

「はい。もう1人で生きていく事に決めてますから」



そう答えてるタイミングでニカがトイレから出てきた。

でもこっちを見てないから
どんな顔をしてるかは分からない。



「でもそれならまだ俺にもチャンスあるよね?」

「いえ、私は決めてますから」

「そんなのまだ分からないでしょ」



田原先輩が言うけど。

「もう決めてるんです」

もう一度言うとさすがに田原先輩も

「…そう」

苦笑いだけど引いてくれる。



「悪かったな、急に」

「いえ」



田原先輩は叔父さんに会計をお願いして帰る支度を始める。

ようやく解放される。
正直ホッとした。



なんなら好意を持ってくれてる人が同じ職場なのもトラウマだ。

明日から仕事に行くのが憂鬱過ぎる。
新しい職場探そうかな。

そう思ってたら

「あ、公私混同はしないつもりだからそこは安心して」

会計をしながら田原先輩は言う。



「急に悪かったな」

「……いえ」

「また明日」



田原先輩が帰っていく。



残された私は複雑で。

田原先輩は公私混同しないって言うけど
そんなの分からないし
どうしたってまた何か悪い事起こるに違いないっていう気にしかならない。



叔父さんは私の事情を知ってるから

「温かいお茶飲むか?」

小さい湯呑みにお茶をいれてくれた。



飲んで一息ついてたらニカからLINEが来た。

ニカ来る時にスペアリブ頼んで来てねっ

キャラクターがふざけて動いてるスタンプを見てたら少し笑っちゃう。



さすがにそろそろ行かなきゃ。

「叔父さん、ありがとう」

湯呑みをカウンターの下げやすい位置に置いて立ち上がった。

「ん」

「あと、スペアリブ1つ」

「はいよ」

叔父さんが優しい顔で笑う。



ニカの待つ部屋に行くと

「おかえりー」

私を見ずにニカはスマホを弄ってる。



ニカはどう思ったかな。

田原先輩に「好きな人」って言われた時に答えに間が開いたのは
友達のニカが含まれるか気になったからで。



…ニカにだけは嫌われたくないな。

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shizu(プロフ) - はるるさん» ありがとうございます!はるるさんも熱中症には気をつけてくださいね! (2020年8月18日 0時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
はるる(プロフ) - shizuさん» 楽しみにしてます!まだまだ暑さが続くようですので、健康にはお気をつけください。 (2020年8月16日 7時) (レス) id: 385ecda6e8 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - はるるさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてものすごく嬉しいです(〃▽〃)少しずつですが更新していきますのでまた是非読みに来て下さい! (2020年8月15日 10時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
はるる(プロフ) - shizuさんの作品、ほぼ全部見てます。大好きです。これからも応援してます。 (2020年8月14日 10時) (レス) id: 385ecda6e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年7月18日 15時

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