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Fake。6 ページ11

今日はニカと約束した
日曜日。

休みだから家を掃除して
ニカの布団も干して枕も干したりして
叔父さんのお店に向かう。

お店に行く途中で
ダイビング試験の泊まり込みのための
シャンプーやリンスとかの買い出しもした。



それでも叔父さんのお店には
予定より早く着く。



お店に着くと
カウンターに田原先輩が居た。



「あれ?」

「…こんにちは」

ペコッとお辞儀すると田原先輩は嬉しそうに笑う。



「今日1人?」

「いえ、友達とです」

「もう来てるの?」



田原先輩が聞いてくるから叔父さんを見ると小さく首を振ってる。



「…まだです」

「そうなんだ。じゃあ少し一緒にどう?」



田原先輩の誘いに思わず固まる。

私が個室に1人で入って
田原先輩が後から来たニカに気づいてニカが私と同じ所に入ったのに気づいたりしたら…。

ニカにも迷惑を掛けることになるのは困る。
どうしよう。



困ってたら

「大丈夫、1杯飲んだら俺は帰るし」

そう言って田原先輩はビールのお代わりを頼む。



確かにそれならニカが来る前に終わるかもしれない。

「…なら少しだけ」

「ありがとう」

隣に座ると田原先輩はホッとした顔をする。



一応ニカには

Aお店に会社の先輩が居て
少しだけカウンターにいるね


って送っておく。



お互い今日が休みだったから
しばらくは何をして過ごしてたとか他愛もない話をしていた。

そしてふとお互い黙った後で

「あのさ」

田原先輩が切り出す。



「今日は偶然だけど今度は約束して外で会えないかな」

「…え?」

「仕事終わりとかもさ。ご飯食べたりとか」



先輩は私の方に向き直る。

その瞬間入口が開いた。

見なくても何となく分かる。
ニカが来たな、って。



そしてそのタイミングで

「俺と付き合ってくれないかな」

真剣な顔で田原先輩が言う。



さすが分かる。
多少酔ってても冗談じゃないことくらい。

何回も誘われてるし。



でも

「田原先輩は仕事でお世話になってますし尊敬してますけど、お付き合いは…」

言いかけたときに田原先輩が私の手を取る。




「本気なんだ。仕事に一生懸命でストイックで、気配りも出来て。そんなAが大好きなんだ」



手をぎゅっと握られたけど
嬉しくなくて。



私が好きな手はこの手じゃない。

その手が浮かんで
この手は嫌だ、と思ったタイミングでニカがトイレに入るのが見えた。



全部聞こえてたのかな。

…そしてこの手も見られたのかな。

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shizu(プロフ) - はるるさん» ありがとうございます!はるるさんも熱中症には気をつけてくださいね! (2020年8月18日 0時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
はるる(プロフ) - shizuさん» 楽しみにしてます!まだまだ暑さが続くようですので、健康にはお気をつけください。 (2020年8月16日 7時) (レス) id: 385ecda6e8 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - はるるさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてものすごく嬉しいです(〃▽〃)少しずつですが更新していきますのでまた是非読みに来て下さい! (2020年8月15日 10時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
はるる(プロフ) - shizuさんの作品、ほぼ全部見てます。大好きです。これからも応援してます。 (2020年8月14日 10時) (レス) id: 385ecda6e8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年7月18日 15時

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