拾ってください。4 (ページ16)

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そのままの君でいて 8 T ページ16

Aが作ってくれた
夕飯を食べながら
Aの仕事での名前を考える。

「飼い主って英語で何て言ったっけ？」

Aは真剣に聞いてきて。
なんてあくまで俺にこだわってくれるのは嬉しいけど。

「『owner(オーナー)』でしょ？助っ人なのにオーナーはおかしいよね」

スマホで確認した結果を言うとAはガッカリした顔をする。

「もう裕太に寄せようよ。『ペット』とか」

「バンドのメンバー紹介でAが『キーボードの『ペット』です』って紹介されて恥ずかしくないならいいけど…」

「んーっ…確かにそれは微妙か」

真剣なAが何だか可愛くて。

「それなら裕太がペットだから『ポチ』とか」

Aからやっと可愛らしい名前の提案があって。

「それは可愛いかも……あっ」

同意しかけて気づく。

「それなら『タマ』は？」

「え？」

「ほら、Aたまに猫っぽいじゃん。嫌がるのに放っとくと寄ってきたり」

前から思ってたしそう言うと

「…それ悪口？」

眉を顰めるA。

何でよー！

「え、めっちゃ可愛いって話だけど」

俺が言っても

「………」

Aは疑いの目で俺を見てる。

「全部小文字でアルファベットで『tama』って」

紙に字を書くと

「…まぁ確かに可愛いかも」

満更でもないAはやっぱり可愛くて。

実はメンバーから『タマ』って呼ばれてるから
裕太をもじるより『tama』の方が俺に近い事は
俺の苗字に馴染みがないAには多分想像つかないはず。

いつか気づいた時にびっくりするかな？

結局名前が『tama』に落ち着いて
食後にAは曲の練習をし始めて俺の方が先に寝ちゃう。

遅くまで練習してたから
声を掛けずに仕事に行こうとしたらAが起きて

「今日、どうだったか報告するね」

なんて寝ぼけた顔でふにゃぁって笑って言うから。

不安になる事ないのかな、なんて思う。

そして夕方Aから

A名前好評だった!
バンド演奏もバッチリだったよ!

裕太が名前考えてくれたのと遅くまで練習させてくれたおかげ。
ありがとう!

って報告が来た。

そうか。

Aがピアノ以外もやる事になるなら
部屋の工事も部品が間に合わなくて延びてるし
俺んちもそういう環境整えないとだよね。

そして
新年会の付き合いで女性のお店に行った帰り道。

「明日の朝、早く出るよね？1時間早くしない？」

ミツマネに頼み込んで
仕事の前にお花屋さんに行ってもらった。