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そのままの君でいて 21 ページ41

裕太から鍵を貰った次の日。

久しぶりに千賀さんとのレッスンだった。
その後裕太の家に行く予定で。



どのくらい上達してるかな。

千賀さんに怒られないように
裕太に邪魔されながらだけどスキンケアもちゃんとして
会えるのを楽しみにしていた。



けど。



久しぶりに会って弾き終わった千賀さんは

「………」

ものすごく不満そうだった。



それは多分、私が無反応だったからだろう。



それには理由があって。
確かに千賀さんは弾けていた。

でもそれは単に『弾けていた』だけだ。



「何がダメなわけ?」

千賀さんが沈黙を破って言う。
マネージャーさんは空気がピリピリしてるのを感じて
私と千賀さんをハラハラして見ている。



どう伝えるのが一番分かるかな。
ぐるぐる考えて
最近バンドのバックをやってて気づいた事を思い出す。



「千賀さん、何を考えていま弾きました?」

声を掛けると

「え?」

驚いて千賀さんは私をみた。



「千賀さん、この歌歌えます?」

聞くと

「…一応」

歌詞を出してくれるから

「じゃあ弾くから歌って下さいね」



私は千賀さんが弾いたように弾いてみる。

千賀さんは最初はのびのびと歌ってたのに
徐々に歌いにくそうで。



途中で歌うのを辞めてしまった。



そして子供みたいに

「…俺、こんな風に弾いてないよ」

ムスッとして千賀さんは言うけど。



「じゃあ千賀さんは弾いてる時に一度でも鍵盤以外見ました?」



そう尋ねるけど
千賀さんは答えない。



それが答えですよね。



でも弾けてるには弾けてるんだから
それを言えば良かったのに
期待しちゃったからつい残念なのが前面に出ちゃった。

「…ごめんなさい、弾けてるには弾けてるんですけど…」

上手くフォロー出来なくて

「いえ、いいんです、きっと言う通りなんでしょうから」

結果、千賀さんのテンションがものすごく下がっちゃう。
前はタメ語だったのに今は敬語になってるし。



あぁ、先生失格だ。



なんて言おう、って考えてたら

「今日はここまでにしておきます。頭冷やしてきます」

千賀さんが立ち上がって

「ありがとうございました」

こちらを見ないで部屋を出て行く。



マネージャーさんから

「…すみません、おとなげなくて。千賀、今日褒めてもらえるって楽しみにしてたんで」

謝られて気づく。



確かに千賀さんは裕太と同じグループなんだから
忙しいだろう。

仕事の合間に頑張って練習したのに。




失敗しちゃった。

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りさ - shizuさん» わかりました(*^-^*) (2021年3月4日 3時) (レス) id: d9bbc47835 (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - りささん» お待たせしました。続編に進みました! (2021年3月3日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続編楽しみにしてます(*^-^*) (2021年2月21日 1時) (レス) id: 4e892c9c3e (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き待ってます(*^-^*) (2021年2月19日 1時) (レス) id: 983b81c132 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 続き楽しみにしてます(*^-^*) (2021年2月11日 1時) (レス) id: 7618a5cf86 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年5月3日 13時

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