拾ってください。4 (ページ36)

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そのままの君でいて 18 T ページ36

コンビニから帰ってきた一成くんは

「はい、ねーちゃん」

買った袋の中からAにアイスを渡してる。

「やった、さすがだね一成」

ピノを持って嬉しそうにAが笑って

「ねーちゃん酔うといつもコレだからね」

一成くんが少し得意げ。

へー、Aって酔うとピノ食べたくなるんだ。
覚えとこ。

さすがにもうさっきみたいなピリついた空気にはならなくて
近況を話したり一成くんが俺に質問してきたりするけど
ゲームの話が中心で困る質問がないから助かる。

そして一成くんはAの弟だからなのか
空気感がAと一緒で話しやすい。

だいぶ経って

「ねーちゃん、風呂」

一成くんが唐突に言う。

「自分でお湯張りなよ」

「やだ。ねーちゃんやって」

「えー、洗うの面倒っ」

「それなら余計ねーちゃんやってよ。洗剤とかスポンジとかよくわかんないもん」

「…もー」

困った顔でAがバスルームに行く。

2人になったら

「すいませんね、さっき。変な空気になって」

一成くんが謝ってくる。

「いや、家族なら聞いておきたい事だと思う」

「…ですよね」

俺が言うとホッとした顔の一成くんは

「でも正直、ねーちゃんの今って絶対裕太さんの影響あると思うんですよね」

って真剣な顔を俺に向ける。

さすがに俺も自覚はあるから

「それは確かにそうだと思う」

ちゃんと答えた。

千ちゃんのピアノ引き受けたのもそうだって言ってたし。

俺と出会ってなかったら
事務所と契約なんてしなかっただろう。

だから

「俺で分かる範囲はちゃんと守るし、何かあったらフォローするつもり」

Aには言ってなかったけど
元々思ってた事を伝える。

だから

「これAにはナイショね」

小声で一成くんに言うと

「ん、分かった」

一成くんも小声で返してくれる。

フフフッて一成くんと笑い合うと

「裕太さん、改めて姉をよろしくお願いします」

一成くんが頭を下げてくるけど

「いや、俺は何も。逆に俺が変な影響与えてゴメン」

「ううん、本当は姉はこれで良かったと思います。俺もコンクールは限界かなーって正直思ってたんで」

さっきは言わなかった事を言う一成くん。

「俺もこれは姉にナイショで」

「うん」

2人でクスクス笑い合っていると

「…何してるの？」

Aがズルいって顔で俺を見てて。

「「ナイショ」」

一成くんとハモっちゃって
笑い合う俺と一成くんをAが面白くなさそうに見ていた。