太陽の当たる場所

夢の途中 22 ページ43

「え！ダメだよ」

資料を家に忘れて青ざめてるニカは
私が送るって言ったらものすごく反対する。


ニカに荷物もあるし車あればいいんだけど
あいにく車検中だし。



「何でよ、困るでしょ？」

「困るけど！でも送って貰う方が困るよ！」

「何で？」

「だってこんな時間…」

「平気だよ、バイクなら早いし」

「でも……！」



言いつつもニカは資料がないのはないので困るみたいで何も言えなくなってる。



「ほら、行こ？」



住所は職場も近いから何となく分かるし。



「…だけど」

ニカは困ってるけど。



「お仕事、困るでしょ？」



私が言うと小さく頷く。



ニカが仕事を大切にしてる事はよく分かるから。



「じゃあ帰ろ？送るから」

ニカの分のヘルメットを渡すと

「………ごめん、ありがと」

ニカが本当に申し訳なさそうに謝る。



「いいから。近くまで行ったら道案内してね」

「ありがと」



ニカに優しく微笑まれて。

その顔がいい顔すぎた。



あぁ、やっぱり仕事大好きなんだな。

仕事に支障が出ないってわかったらこんなにいい顔するんだ。



本当に仕事第一なところがニカのいい所だな。



幸い下に降りるまで誰とも会わなかった。



「ここが持つとこね。あと、足はここにかけて」

2人乗りで持つ場所とかを伝える。

「ん、わかった」

ニカがヘルメットを被って頷く。



先にバイクに跨ると

「はい、乗って」

声を掛けると頷いてニカが跨る。



「ホントごめんね」

またニカが謝ってくるから

「いいって。荷物だけ気をつけてね」

謝る時間を無くすしかないからエンジンを掛ける。



「動くよ」

「ん」



できるだけゆっくり走り出す。

都心は二人乗り禁止だけど近くまでは大丈夫だから高速に乗ることにする。



信号待ちで

「高速乗る時少し上り坂だから頑張ってね」

ニカに振り向いて言う。

「へ？」

ニカが聞き返すけど信号が変わったから進んで高速に乗る。



上り坂になるから後ろに乗ってると多分キツいんじゃないかな。
しかも後ろのニカの方が重い(はず)だから腹筋使うんじゃないかな。



案の定

「うわっ！」

ニカの悲鳴とトンッて背中にニカがくっつく。

「ごめん！」

慌てて離れようとしてるけど私も前傾のままの方が楽だから

「そのままでいいよ」

伝えるとニカがまたくっつく。



夏だから暑いけど温かい感触が少し心地いい。



高速に乗ってスピードを上げた。



「気持ちいい！」



後ろからニカが言う。

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