太陽の当たる場所

夢の途中 21 ページ41

ニカがうちに来たある日。

今日はマネージャーさんに送ってもらったらしく
明日のお迎えもうちまで来るって言う。



「明後日お休みで明日ダンスの特訓したいんだよね」

「うち来るの？」

「うん、明日の夜も来ていい？」

「…構わないけど。明日私遅いよ？」

「俺早いからさー、鍵貸して？」

「え！？」



鍵を貸すの！？



「お礼に夕飯作っておくから」

「…ラーメンでしょ？」

「あはは、バレた？」



ニカが一度夕飯作るって言って
即席麺と煮玉子を出してくれて「この煮玉子俺が作ったの！」って自慢してくれたんだけど。



確かにものすごく美味しかったから

「ラーメン好きだからいいけどね」

「やった！じゃあ作るね！…あとね」

ニコニコしてるニカは
スマホの画面を見せてくる。



何？



見てみると『バイク教習』っていう予約画面。

日付は明後日。



「ふっふっふーっ、明後日行ってくるから」

「…そう」



それはすごいね。



「はい、だからAちゃんもスキューバ行こうね」

「え！？」

「はい、予約の資料」



取り寄せまでしてくれたのか
ニカの住所宛の封筒が渡された。



「中身だけ頂戴」

「いいじゃん、別に。Aちゃんになら住所知られてもいいし」

「困るよ」



なんかあっても困るし。



「何が困るの？」

ニカは不思議そう。



「…例えば私がうっかりこの封筒ごと持ち歩いて落とすとか、うちに空き巣が入るとか」



「空き巣入るの！？」

ニカが驚いてる。



「いや、来たはことないよ」

例えばの話なんだけど。



「なんだー、じゃあいいじゃん！」

ニカは言うけど。



何がいいんだろう？



「何でそんなに知らせたいの？」

「何でそんなに知りたくないの？」



ほぼセリフが被って私たちは言い合う。



「で？いつ行く？再来週の水曜日なら俺も休みだし」

ニカはスマホを開いて

「ひとまず潜ってみようよ。それから考えるでもいいし」

って空き状況を見てくれる。



「あのね、ニカ」

「んー？」

「私まだ行くなんて言ってな…」

「ほら見て！再来週空いてるっ！」



ニカがものすごく笑顔。



仕方ない。

これだけ勧めるってことはきっと楽しいんだろうね。



「わかった、じゃあ連れてって？」

「えっ！！」

「何が必要か教えて？」

「………うんっ！あのね、必要なのは…」



色々押してくれる
ニカが本当に嬉しそうで。



なんだかんだ良かったなって思う。

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