太陽の当たる場所

夢の途中 18 ページ35

「あー、お腹いっぱい」

「だろうね」



ニカは焼きそばと煮物とケーキを食べて
「味見！」とか言って炊き込みご飯も少し食べた。



「いいの？そんなに食べて」

「明日夕飯抜く」

「抜く、って。ダメだよちゃんと食べないと」



3食バランス良く食べないと。

体が資本なのに。



怒ってるのにニカは何故か

「ふふふふ」

楽しそうに笑ってる。



「ね、Aちゃんの誕生日いつ？」



この流れで答えたら『祝って』って言ってる感じになるし
誕生日にはいい思い出ないから言いたくなくて

「そういえばニカ何歳なの？」

話を誤魔化す。



「28っ！」

「あ、年上なんだ」

「え？そーなの？」

「私まだ24だから」

「へー！見えない！同じくらいだと思ってた」

「うん、よく言われる」



年上に思われる事が多い。
老け顔だしね。



だから気にしてないのに

「あはは、俺そもそも人の歳当てたことないんだけどね」

ニカは笑いながらも申し訳なさそう。



私はニカはもっと若いと思ってた。

だから歳を言われて意外だなと思った。



「で、誕生日いつなの？」

またニカが聞いてくるから

「誕生日、忘れちゃった」

席を立つと

「うそだぁーっ！」

ニカは不満そう。



「おにぎりいくつ作ればいい？」

炊飯器を開けると

「おにぎりより誕生日」

ニカが不満そうに言う。



「じゃあいらないんだね？」

炊飯器を閉めたら

「……2つ、いや、3つ」

口を尖らせてニカが言う。



3つも食べるんだ。

「美味しかったの？」

「うんっ！！」

ニカが笑顔で頷く。



あ、さっきからこの顔好きだな。



なんて思った。



「いいもーん、今度大将に聞くから」

「大将？」

「Aちゃんの叔父さん」

「あぁ。…多分覚えてないと思うけど」

「えぇっ！！」



ニカが悲しそうな顔をしてて笑っちゃう。



「いいじゃん、誕生日なんて別に」

知らなくたって構わないと思うけど。

「逆に何で教えてくれないの？」

ニカはまだむくれてる。



なんて言おうか迷ったけど

「んー、いい思い出ないの」

こう言えばくいついてこないかなと思って言うと

「………そっか」

ニカが諦めてくれる。



ちょっとびっくりした。



「え？何でそんな顔？」

ニカが不思議そう。



「しつこく聞いてくるかな、って」

「あはは、聞かないよ。まだね」

「まだ？」

「ん、言いたくなるまで待つ」



ニカが笑う。



いや、言う気ないからね？私。

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