太陽の当たる場所

夢の途中 16 side 2 ページ32

Aちゃんが
俺にとってものすごく居心地のいい存在になってる。

一緒にいてこんなに居心地いい女の子
今まで居なかったんだけど。



シャワーを浴びて
着てた服を持って帰ろうとしてちょっと考える。



この服このまま置いてっちゃダメかな。



「ねーAちゃん」

下だけ履いてキッチンに向かうと

「……服くらい着てよ」

Aちゃんが恥ずかしそうにしてる。



「暑いんだもん」

さすがに汗引かないと着れないよ。



そのまま俺が近づくと
Aちゃんは俺から顔を背ける。

「………で？何？」

「あのね、今日着てた服置いてっていい？」

「え？」

「洗濯して俺専用BOXに入れといてよ」

そしたら次は手ぶらで来れちゃうよ。



Aちゃんは俺の方を見ないで

「別にいいけど」

冷蔵庫から焼きそばの麺を出してる。



え、もしかして…。

「ね、Aちゃん」

「なに？」

声を掛けてもAちゃんはやっぱり俺を見ない。



「俺にときめいてる？」

「は！？」

「だから緊張してる？」

だとしたら嬉しいんだけど。



「まさか！上ハダカとか職場でも見慣れてるし」

「え、でも全然こっち見ないじゃん」

「……」



Aちゃんが全然こっち見ないから

「ほーら、こっち見てごらーん」

近づいてくと

「やだ！！もう！ニカのバカっ」

真っ赤になって逃げてくから面白くなって追いかける。



「え、Aちゃんめっちゃ可愛い！」

楽しくて笑っちゃうと

「もう！あんまからかうと焼きそば作らないよ！？」

Aちゃんが怒ってくる。



それすら可愛い。



そして炊飯器の近くを通ったら
ものすごくいい匂い。



「ん？めっちゃいい匂いする」

「あぁ、炊き込みご飯作ったから」

「え！！」



うそ！
もう名前だけで美味しそう。



「ホントは夕飯炊き込みご飯とおかずの予定だったから」

「えーー！！」



何それ美味しそう！



「ニカ、おじさんのとこで炊き込みご飯も『美味しそう』って顔で見てたから」

「え！え！！食べたい！！」

「焼きそばあるよ？」

「でも食べたい！！！」

「………」



Aちゃんは少し困った顔。



あ、もしかして。



「今さらだけど彼氏が食べるとか？」

「…何で男友達いないのに彼氏いるって発想になるの？」



俺が聞くと逆に聞き返しながら
冷蔵庫から白い箱を取り出す。



「……これがあるの」




何これ。


開けてみると中身は

『Happybirthday ニカ』

って書かれたケーキだった。

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