太陽の当たる場所

夢の途中 8 ページ15

「食べよ」

やっと出来たブリカマの煮付けと
ニカと私の飲み物を持って戻ってニカに声を掛けるけど

「………」

ニカは何だか不機嫌。



どうしたんだろう？



「…何？」

「Aちゃんそんなに俺と友達になるの嫌？」



ムスッとしたままニカは言う。



「…芸能界の人と接するの初めてだし正直どうしていいかわからないんだよね」



素直にいまの気持ちを言う。



「なんだ、そんなこと？」

ニカは笑い出す。



「そんなことって」

「だってAちゃん最初は俺の事ただの『人』としか思ってなかったでしょ」

「…まぁ」

「ね、俺はただの食いしん坊なニカだから」



そう言うけど。



「…だからね」

「ん？」

「私もフツーにしか接してないけど」



そもそも無理してなんかないんだけど。



「Aちゃんてさ」

「なに？」

「男の人苦手なの？」



ニカにズバリ言われる。

まぁ早かれ遅かれ分かることだし。



「そうだね、むしろ人が苦手」

だからちゃんと言った。



昔からそう。

特に彼氏と別れてからは男の子は特に苦手だ。
だからオートバイに向き合ってる時が一番楽しい。

だからニカに『友達』って言われても困ったし。



これで私と友達になるのも諦めてくれるかなと思った。



でもそしたらニカは

「そっか」

とだけ言ってニコッて笑って芋ロックを口にする。



え？

笑うところ？



「俺が嫌われてる訳じゃないならいーや」

そう言って芋ロックを置くと

「カマ食べよー。Aちゃん取り分けてー」

ってお皿を渡してくる。



…人の話聞いてたのかな。



「俺ホネがあまりないトコがいいー」

「…別に構わないよ、骨のトコの方が美味しいから」

「え！あ、そっか！カマだもんね！じゃあAちゃんが食べやすくして！！」

「…何でよ」



さっきのお風呂のくだり聞く限り人の箸とか苦手でしょ。

仕方ないからお箸をもう1膳使って取り分ける。



「…ふふ」

ニカはニコッて笑う。



「…何？」

「人嫌いとか言うけどめちゃくちゃ優しいじゃん」



ニカはニコニコしながらカマを受け取る。



カマの美味しいとこ取り分けたこと言ってるのかな。



「人は嫌いだけど叔父さんの料理は好きだから美味しいとこをニカに食べて欲しいから」

「へ？」

「だってここの料理をシェアするだけの友達だもんね私たち」

「…え」

「そもそも異性の友達がいるとかファンの子だって嫌でしょ」



私の言葉にニカから笑顔を消えた。

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