太陽の当たる場所

夢の途中 1 ページ2

「今日久しぶりに行こうか」

オーナーが言い出す。



何処へですか？
なんて野暮な質問はしない。



今日は大口の修理の案件が終わって
大きなメンテナンス契約も何件か取れたらしい。

オーナーもパーッとやりたいと見た。



「やったー！そしたら私Aちゃんの叔父さんのお店がいいな」

愛子さんが言う。



「え、いいんですか？」

「うん！だし巻き玉子の味が忘れられないのー」

「空いてるか聞いてみます」



手を洗って叔父さんに電話をすると
空いてるって言われる。



「大丈夫だそうです」

「ん、じゃあ皆で行こう」

「5人ですね」



予約をして電話を切ると

「今日はいいお刺身入ってるそうです」

叔父さんからの伝言を伝える。



「やった！楽しみだな」

「じゃあもうひと仕事だな！」



盛り上がって仕事をしてると

「なぁA」

田原先輩から声を掛けられる。



「送迎ですか？」

「さすが！頼んでいい？」

「はい」



家が遠いので基本私は職場の飲み会では飲まない。

私の家の途中に田原先輩の家があって
基本送迎をする事が多い。



「メットだけ用意して待ってるから」

「はい」

「サンキュー、助かる」



仕事終わりに田原先輩を迎えに行って
お店に着くと叔父さんと叔母さんが迎えてくれる。



「Aちゃん久しぶり！」

「お久しぶりです」

「なんか立派になったねー」

「…もう24なんで」



叔父さんは母親の弟で
昔から可愛がってくれていた。

家族から離れて東京に1人で出てきた時も
保証人になってくれたりもしている。




「今日は座敷の左側ねー」

「はい」

「右側はお客様いるからねー」

「はーい」



左側に入ると既にみんな揃っていて
既に始まっている。

「え？まだ時間前ですよね？」

言われた時間の15分前なのに。

「待てなくってさー」

オーナーがニコニコしてる。



よっぽど飲みたかったんだね。
慌てて私たちも飲み物を頼む。



「じゃあ改めまして」

オーナーの音頭で

「「「「「かんぱーい」」」」」

乾杯をする。



みんなでワイワイ飲んでて少し経った頃トイレに行く。

鏡を見ると頬に黒い汚れがついてる。



…汚い顔っ。



少し擦ったけど取れなくて。

諦めてトイレから出るとトイレの前にサングラスをした男の人が立ってる。



サングラス？

店内なのに？



それより

「ごめんなさい」

待たせちゃった。



申し訳ない。

声を掛けるとペコッて頭を下げて
その人はトイレに入っていく。

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