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妹。F -side you- 20 ページ42

インフルエンザをきっかけに
たい兄と寝る生活が戻った。



たい兄にはうつらなかった。

本当に良かった。



夜になると

「たい兄そろそろ寝ようよー」

眠くなるとたい兄に声を掛けて

「…まだ本読み途中なんだけど」

たい兄が困った顔をしても

「だってもう寝ないと朝起きられないっ」

むくれると
仕方ないな、って顔をしてたい兄が笑って

「歯、磨いた?明日の時間割は?」

本を閉じて立ち上がる。



「歯は今から!たい兄一緒に行こっ」

「はいはい」



私の言いなりになってるたい兄に
みつ兄もママも苦笑い。



「たい兄、困ってる?」

ベッドの中に入って聞くと

「困らなくなってる事に困ってるよ」

たい兄が優しく笑って私の頭をポンポンする。



…ってことは
一緒に寝ててもいいんだ。



嬉しくてたい兄の胸元に擦り寄ると

「さすがに近いでしょ」

たい兄が離れようとするから

「いいじゃん、あったかいじゃん」

離れない私にたい兄が「もー」って笑って
ギュッて私を抱きしめた。



……えっ。



ドキッとする。



「ならこのまま寝ちゃうね」



固まってる私にたい兄は多分気づいてない。



「…おやすみ、A」

低くて甘い声。



まるで恋人にするみたいな甘い挨拶。



嘘でしょ?

たい兄、こんなに甘い声出せるの?



動揺して動けずにいると
少ししてたい兄から規則正しい寝息が聞こえる。



たい兄寝ちゃったんだ。



私はまだドキドキが止まらなくて
でもこんなに甘いたい兄が貴重だから
私からもギュッて抱きついてみると

「…んーー」

たい兄は少し苦しそう。



あ、ごめんなさい。



少し緩めるとたい兄からまた規則正しい寝息。




甘いよ、たい兄。

こんな甘いたい兄知ったら
みんなたい兄に恋しちゃうよ。



嬉しいやら切ないやら
ものすごく複雑な感情のままほとんど寝れずに朝を迎える。



めざましの音がして

「んー…」

たい兄がめざましを止める。




「…あれ?A起きてるの?」


起きてる私に気づいた
たい兄の寝起きの少し寝ぼけて掠れた声。



「うん」

「あはは、珍しいね。今日は雨かな」



すごく失礼なことを言って
たい兄は私を緩く抱きしめる。



…たい兄?

これ、兄妹の距離感?



たい兄はだんだん意識がハッキリしてきたのか
少し距離を取って

「ほら、学校の時間だろ?」

私を起こしてくれるけど。



たい兄の彼女になったら
こんなに甘い朝を迎えられるのに。



何で私は妹なんだろう。

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shizu(プロフ) - Haruさん» 王道すぎる話なのですが。ガヤさんがお兄ちゃんとか最高。ミツ担な私はとにかくミツは彼氏枠でお兄ちゃんでは辛い(笑) (2020年4月11日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - わーん、また切なくてでもなんだかこの兄弟関係がほのぼのしていい短編!たいぴ見たいなお兄ちゃんがいたらきっと私もひっついて離れないです(笑) (2020年4月9日 19時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年4月9日 19時

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