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妹。F -side you- 5 ページ27

パパのお見舞いはほとんど毎日行った。

パパに『痛いの飛んでけ』をするのと
看護師さんの仕事を見ていたくて。



看護師さんは

「いつも偉いね」

って言ってくれたけど何が出来る訳でもないから
何も偉くなんかなくて。

お見舞いに行っても
看護師さんたちの仕事をただ見る日だけの日もあった。



ママとお見舞いに行ったある日。



その日はパパが起きてて

「ジュース飲みたいな」

なんてパパが言うからママが買いに行った。



待ってる間にパパと最近学校や家であったこととかを話してると

「A」

パパが呼ぶ。



「なに?」

「Aは太輔のこと好き?」



聞かれて

「大好き!!」

即答する。



そんな私にパパが嬉しそうに笑う。



「太輔のこと見ててあげてね。アイツ小さい頃から我慢する癖あるから」

なんてパパが言い出す。



たい兄ちゃん、我慢なんてしてるかな?

いつもニコニコしてるけど。



ピンと来なかったから不思議な顔をしちゃうとパパがまた笑う。

「そーか、太輔はAには見せてないか」

パパは1人で楽しそう。



「太輔はAが大好きだからね」

「え!ホント!?」

「うん。この前パパに教えてくれたよ」

太輔にはナイショね、って小声で付け加える。



たい兄ちゃんもAが好きなんだ。
嬉しくて笑っちゃうと

「あはは、Aは太輔がホントに好きなんだね」

パパの方が嬉しそうに笑ってる。

「うん、好き」

正直たい兄ちゃんがいるから
クラスの男の子たちに全く興味がないし
テレビ見てもカッコイイって思う人もいない。



改めて考えると
たい兄ちゃんより好きな人っていないかも。



「じゃあ、これから太輔のこと、よろしくね」

「何で?」

「ん?」

「よろしくしなくてもパパもいるでしょ?」



治ったら帰るんじゃないの?

そう思って聞いてもパパは困った顔をするだけで。



そのタイミングでママが帰ってきて
この話はこれで終わりになっちゃった。



帰りにママに

「パパが今日変だったんだけど」

「そうなの?」

「たい兄ちゃんのことよろしくって、パパまるで帰って来ないみたいな言い方してたけど」

「………ふぅーん、変だね」

ママも変な顔をしてたけど。



後から思えば変な顔に見えたのは
ママは悲しかったのを我慢して変な顔をしたんだと思う。



パパとちゃんと話が出来たのはそれが最後だった。



小5の春、

パパは寝たまま目を覚まさなかった。

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shizu(プロフ) - Haruさん» 王道すぎる話なのですが。ガヤさんがお兄ちゃんとか最高。ミツ担な私はとにかくミツは彼氏枠でお兄ちゃんでは辛い(笑) (2020年4月11日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - わーん、また切なくてでもなんだかこの兄弟関係がほのぼのしていい短編!たいぴ見たいなお兄ちゃんがいたらきっと私もひっついて離れないです(笑) (2020年4月9日 19時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年4月9日 19時

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