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妹。F -side you- 4 ページ26

たい兄ちゃんは頭も良かった。



教え方も上手で
分数の足し算で何で分母を同じにするのかもちゃんと教えてくれる。

先生は「そう決まってるから」としか言ってくれなかったのに。



たい兄ちゃんのおかげで勉強も終わって
下に降りるとまだ夜になってないのにパパが帰ってきた。



「パパおかえりー!」

嬉しくて抱きつくとパパはギュッてしてくれるけど何も言わなくてしんどそうで。



「…パパ具合悪いの?」

「ちょっとね。寝れば治るから大丈夫だよ?」

パパがそう言うから

「ならAもパパと一緒にお昼寝する!」

ギュッて抱きつくとパパは黙ったまま頭を撫でてくれる。



でもパパがあまりにもしんどそうだから

「パパ、病院行く?」

聞くとパパは優しく笑って

「もう行ってきたから大丈夫。いまお昼寝するとAは夜寝れなくなるよ?」

「そうなったらパパも寝れなくなってるからまた眠くなるまでパパと遊ぶ!」

そう答えるとパパは笑って。



笑ったからパパも元気になるかな、って思ったけど
パパは一緒にお昼寝してても苦しそうで。



「パパどこか痛いの?」

「お腹がね、ちょっと痛いの」

辛そうに言うからパパが大変なのが心配で泣きそうになった。



Aはお医者さんじゃないから何も出来ない。
だから出来ることは

「痛いの痛いの飛んでけー」

パパのお腹を触って言う。



「あはは、パパ治ってきたかも」

パパが笑ってくれたから『痛いの飛んでけ』をパパが寝るまでやり続けた。



この日からパパがうちに居る事が増えた。

だから毎日パパに『痛いの飛んでけ』をしに行く。
その度にパパは嬉しそうに笑ってくれた。



なのにパパはどんどん痩せていく。



「パパ大丈夫かな」

みつ兄ちゃんに聞くと

「いまの医者はすげーから」

としか言わなくて。



『大丈夫』って言ってくれないのが心配だった。



ママを手伝ってパパのお世話をすると

「Aは偉いね」

パパが嬉しそうに笑うからパパのお手伝いは欠かさなかった。



いよいよ入院までするようになる。

線に繋がれたパパはあまり起きてる時間がなくて
お見舞いに行ってもほとんど寝ていた。



「藤ヶ谷さん、点滴変えますねー」

たまにくる女性の看護師さんがテキパキとパパの点滴を変えてるのをじっと見守る。



かっこいいな。



たい兄ちゃんが

「かっこいいよね」

同じことを言う。



いつもニコニコしてて手際もよくて。

思えばこの頃から看護師に憧れ始めていた。

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shizu(プロフ) - Haruさん» 王道すぎる話なのですが。ガヤさんがお兄ちゃんとか最高。ミツ担な私はとにかくミツは彼氏枠でお兄ちゃんでは辛い(笑) (2020年4月11日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - わーん、また切なくてでもなんだかこの兄弟関係がほのぼのしていい短編!たいぴ見たいなお兄ちゃんがいたらきっと私もひっついて離れないです(笑) (2020年4月9日 19時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年4月9日 19時

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