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妹。F 26 ページ18

配属先は
いまの家から通える範囲に決まった。



3年目のAはいよいよ忙しそう。



元々俺とAには別々で部屋があった。

過ごすのはリビングが多いけど
勉強はほぼ自室にこもってるか
たまにAが寂しがって俺の部屋に来たりリビングで勉強することがあったが
最近のAは集中したいらしく自分の部屋にいることが多かった。



でも今日は

「たい兄ー。2時間だけ寝たいから2時間経ったら起こして」

Aはフラフラしながら俺のベッドに入る。



「自分の部屋で寝なよ」

「やだ。たい兄のベッドがいい」



そう言ったと思ったら寝息を立てる。



よっぽど疲れてるんだな。

起きた時にコーヒーとかあった方がいいかな。


タイマーを2時間の15分前で設定して
ミルクたっぷりで砂糖を抜いて
眠気覚ましだからエスプレッソも追加したコーヒーを作る。



出来上がった時にちょうど2時間経った。



「Aー、2時間経ったよ」

部屋に戻って声を掛けるけど起きない。



寝起きが悪いのはよく知ってる。
それでも最近はちゃんと起きたのに今日は全然ダメ。

「A、起きないと」

仕方ないからベッドに近づいてAを揺する。



でもAは

「んー…」

よっぽど疲れてるのか起きてくれない。



無防備な寝顔。

今日は1日家にいるからすっぴんだし
ちゃんと手入れしててモチモチの肌。



頬に触れてみる。

顔を触るなんて最近してなかったな。



「A」



声を掛けたら
少しだけ笑った気がした。



たまらなかった。

この笑顔が俺以外の誰かのものになる日が
いつか来ることを考えたら。



この感情が歪んだ愛情なのは分かってる。



Aと俺は家族なんだから。

例え血は繋がってなくても。



でも俺は多分A以外誰も愛せない。



これが最後だから。

今日でもう離れる覚悟するから。
勝手にごめん、A。



そっとAの唇に自分の唇を重ねた。



Aの柔らかい唇の感触。

泣きそうになるくらい愛しい気持ち。



今日を限りに封印しないと。



俺はAにとってただの「兄」なんだから。



泣きそうだった。



でもAが困るのはもっと困る。



もう一度だけキスをすると
Aの頭を撫でた。






そしてこの日を境に
Aに必要以上に近寄るのをやめて
遅くなることに口出しをしないようにした。



それでAが不思議がることも無く普通だった。



これでいよいよ
俺の役目はこのまま終わるのだろう。

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shizu(プロフ) - Haruさん» 王道すぎる話なのですが。ガヤさんがお兄ちゃんとか最高。ミツ担な私はとにかくミツは彼氏枠でお兄ちゃんでは辛い(笑) (2020年4月11日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - わーん、また切なくてでもなんだかこの兄弟関係がほのぼのしていい短編!たいぴ見たいなお兄ちゃんがいたらきっと私もひっついて離れないです(笑) (2020年4月9日 19時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2020年4月9日 19時

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