妹。F 9 ページ1
翌朝。
忌引も終わって
今日から学校だった。
「太輔、一緒に行こーぜ」
みつ兄ちゃんが一緒に学校に行こうって言う。
「ずるい!」
「ずるくねーよ、お前はまだ小学校だろーが」
「やだ!Aも行く!」
「無理だから。あと今日晩メシいらない。太輔と食って帰る」
なんて言い出すからさらにびっくりした。
ギャーギャー騒ぐAに母さんは
「はいよ。ならAも今日は母さんとどっかに美味しいもの食べに行こうか」
そう言うけどAの機嫌は直らない。
「…太輔、Aがうるさいから早めに出るぞ」
小声でみつ兄ちゃんが言うから頷いて
慌てて出掛ける。
学校行きながら
なんで父さんが具合悪いのをみつ兄ちゃんが知ってたのか教えてくれた。
「たまたま見ちゃったの。診断書」
保険の申請をリビングでしてた途中で仕事の電話がかかってきて
その電話に出た父さんが書類を置きっぱなしにしてたらしい。
「だから父さんは母さんが知ってるだけで俺が知らないと思ってたはず。母さんにも父さんが死んでから言ったんだ」
「…そうなんだ」
てことはみつ兄ちゃんも辛かったんだ。
なのに俺は…。
「最後の時も、Aも太輔がそばにいれば安心だったから任せちゃってた。ホントは太輔は父さんの近くにずっと居たかったよな」
みつ兄ちゃんは立ち止まって俺に頭を下げて
「色々ごめんな」
悲しそうな声で言われて俺まで悲しくなる。
「みつ兄ちゃんは悪くないよ。俺が勝手に拗ねてただけだから」
「でも俺は兄ちゃんなのに気づけなかったから。太輔が辛いことに」
顔を上げた兄ちゃんは
「太輔は覚えてる?俺と初めて会った時の事」
真面目な顔で聞いてくる。
………初めてだった。
何となく家族の誰も触れてない話だった。
「うん」
「やっぱ太輔は覚えてるよな」
みつ兄ちゃんが悲しそうな顔で俺を見る。
「だからホントはそれもあってお前出てこうとしたのかなって気になったんだ」
…みつ兄ちゃんはすごい。
俺は子供みたいに拗ねる事しか出来なかったけど
ちゃんと俺を見てくれてる。
「太輔は俺の弟だから」
みつ兄ちゃんはニッて笑う。
「誰が何を言おうと俺の弟だし、母さんの息子だし、Aの兄ちゃんなんだからな」
『Aの兄ちゃん』
そう言われた時にズキッと胸が痛くなる。
でも気のせいだろうなと思ったし
頷くとみつ兄ちゃんが笑うから
その笑顔が嬉しくてそれ以上考えなかった。
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shizu(プロフ) - Haruさん» 王道すぎる話なのですが。ガヤさんがお兄ちゃんとか最高。ミツ担な私はとにかくミツは彼氏枠でお兄ちゃんでは辛い(笑) (2020年4月11日 20時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - わーん、また切なくてでもなんだかこの兄弟関係がほのぼのしていい短編!たいぴ見たいなお兄ちゃんがいたらきっと私もひっついて離れないです(笑) (2020年4月9日 19時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shizu | 作成日時:2020年4月9日 19時