サイボーグな彼女 13

ふたりの夢 12 ページ17

ほどなくして
宏光の言う通り
そのアイドルの子と俳優さんの熱愛が発覚した。



むしろ結婚が発表された。

授かり婚で。



ネットはものすごく荒れて
俳優さんもアイドルの子はものすごく叩かれていた。

アイドルの子には
握手会に費やしたお金を返せとか
CDを何枚も買ったのにとか。

俳優さんには
ずっと応援してたのにとか
裏切られたとか。



「じゃあお前がこの子と結婚出来ると思ってたのか？っつーの」



武田さんは鼻で笑って記事が載ってるスポーツ新聞を投げる。



「そんな身も蓋もない言い方しないで下さい」

杉山さんがつっこむ。



「つーか実はこの子の子供の父親が北山なんてことねーよな？」

武田さんに睨まれる。



「無いと思います…けど」

それはさすがに分からない。



言いきれずにいると

「Aさん！そこは言い切っていいと思います！むしろAさんは言い切って下さい！」

酒井さんにつっこまれる。



「なんだよ、酒井もA派か？」

「なんの派閥ですか！北山さんはさすがにそんな事しないと思います。キスマイを大切にしてるんで」

面白くなさそうな武田さんに
酒井さんが主張してる。



確かに宏光は絶対避妊するし
いつの間にか私の生理周期を把握までしてて
危ない日の前はしないようになってるし
生理前はすごく求めてくる。



…って何を思い返してるの？私。



酒井さんは私が玉森さんにつく日に宏光につくことが増えて
酒井さんと宏光で行動することが増えた。



そして酒井さんがここまで宏光の味方をしてくれてるとか。

これは完全に宏光の人徳だ。



そう思ったのも束の間

「北山さんは思ったより真面目ですよ！」

酒井さんは力説してるけど。




『思ったより』は余計じゃないかな。



「まぁ結果、お前の首は飛ばずに済んだな」

武田さんが言う。



「はい」

「まぁ怪しいのは北山だけじゃないしな」



言いながら武田さんが全員を見渡すと
杉山さんがわかりやすく下を向き
小林さんも目を逸らしてる。



え？小林さんも？



「あえて聞かねーけど」

ため息まじりに話を畳む武田さんはそのまま別の打ち合わせを始める。



ひとまずこれでこの騒動は終わりだ。

ホッとする。



全ての打ち合わせが終わって

「じゃあ以上！あと、俺も含めてこの中で1人他のグループに異動になるなから」

本当に普通の報告をするテンションでサラッと言う。



あまりに普通に言われて一瞬間が空いた。



「「「「え？」」」」

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