サイボーグな彼女 13

ふたりの夢 10 ki ページ14

タマとAと飲んでると
アイドルと付き合ってる友達から
電話が来た。



『いまアイツ卒業発表したから』

「そっか」

『悪かったな色々』

「ホントだよ！すげー肩身狭かったんだけど」

『マジで落ち着いたら奢る。ひとまずこっちも事務所と話し合いでいつ公表するか決めるから』



悪かった、なんて言いながら
そんな気配全くなさそーにウキウキした声。



いーけどさ、Aの誤解解けたし？
なお一層ラブラブになったはずだから。

…ラブラブって表現やべーな。



『それにしてもお前たちの仕事って厄介だな』

ソイツが言う。



「厄介？」

『恋愛＝引退的な空気あるじゃん。ましてや結婚なんてできねーだろ』



言われた時にドキッとする。



「あー、まぁな」



答えながらうわの空だった。



そか。
Aも結婚出来ねーってことだよな。

Aとの未来俺が奪っちゃうってことだよな。



かと言って

「他の結婚できる人と幸せになりたいです」

って言われたところで離れる気はねーけど。



…それってエゴだよなぁ。

Aが将来を考えて俺と離れたいって言ったら
それは認めるしかないって事で。



…俺以外の奴に『ずっと』を叶えてもらうしかないんだよな。



考えただけですげー嫌なのに
受け入れることなんて出来ねー気がする。



とりあえず

「仕事と結婚してんだよ」

『あははは、さすがだな』

適当に流してまた飲む約束をして電話を終えてため息をつく。



俺と付き合うって決めた地点で
ある程度想像ついてるはずだ。

先輩のグループでは結婚してる人たちもいるけど
俺たちはまだその域に達してない気がするし



そもそもまだ俺も結婚する気ないし。



Aは将来のことどう思ってんのかな。

タバコを吸ってひと息ついて
考えても仕方ねーのに考えちゃって。

気がついたら3本も吸ってる。



あ、やべ。

結構時間経ってる。



何だか重い足取りで二人の所に戻ると
タマの笑い声が聞こえる。

「おかえりー」「おかえりなさい」

部屋に入ると
まぁまぁな時間居なかったのに変わらない雰囲気で迎えてくれる2人。



「…おう」



2人の間には焼酎のボトルが置かれてて
すでに半分以上空いてる。



「へ！？」

「ねー？すごくない？Aちゃん」



タマがこんなに飲むわけねーから大半はAだろう。



「私一人な訳じゃないですよ」

涼しい顔で言うAに

「当たり前だろ！」

思わず笑うけど。



ここまで飲むとか珍しいな。

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