サイボーグな彼女 13

ふたりの夢 8 ki ページ10

Aのめざましの音で
早く起きたけど
そもそも22時過ぎに寝てるから
むしろ睡眠は十分で。



「…A、こっち向いて」

声をかけたら振り返ってくれる。



あれ。
昨日謝ったからもう怒ってねーのかな。



「色々ごめんな」



怒ってなくてもちゃんと顔を見て謝りたい。

そう思って謝ると
一瞬悲しそうな顔をしたAは布団の中に潜っちゃう。



あー、今のは寝起きで寝ぼけてただけか。

そりゃそーだ。
怒ってなきゃさっき話しかけた時起きて返事してくれるはずだもんな。

布団の上から抱きしめて
嫌な思いを積み重ねさせたことを謝る。



「…積み重ね？」

「嫌だっただろ？背、見ちゃったのも」



ピクッてAが動く。

気づいてないと思ってたのかな。



「酒井ちゃんから聞いた。Aが俺を庇ってくれて孤立気味なこと」



ギュッてAが縮こまる気配。

知られたくなかったのかな。




「俺めちゃくちゃ感じ悪かったのに、Aは信じてくれたって聞いてすげー嬉しかった」



布団の上からAをさすると

「…マネージャーが担当信じないとこの仕事は成立しませんから」

仕事口調で返すから
本当は無理させてたってことくらい俺にだってわかるし
あえてそう言うことで本音はそう思ってない事も分かる。



「ん、そーだろうけど。マネージャーじゃなくてAAはどー思ってんの？」

布団からAから出るスペースを作って待つ。



「…………」



黙っちゃうA。

そりゃそーだ。



「だから、ゴメンな。俺が逆でも嫌だから」



毎晩他の男と飲んで。
咄嗟だとしてもAに背が小さいって思われてたりしてらすげー嫌だ。



「もー少ししたら全部言えんの。だから信じてちょっとだけ待ってて」

「……」



黙ってるけど頷く動きをするA。



「だから、顔見して」

ポンポン、って背中を叩くけど

「………」

出てこないA。



てことは

「背のこと、もう取り返しつかねーくらい怒ってる？」

「……それはもう良くて」

小さい声でAは返す。



じゃあどーした？



「ほら、我慢しない約束だろ？」

「………」

「俺はAが一番大切なの。Aが嫌な思いしてんの嫌なわけ」



『一番大切』が効いたのか。

Aが布団の中から俺を抱き締め返してきてる。



もういいかな。

俺も布団に潜ってみると布団の中で少し暗いけど
Aが半泣きになってるのが分かる。



何がAをこんな顔にさせてるわけ？

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